「意外と知らない」『こち亀』の最終回 両さんの最後のセリフに「涙が出る」
ふたつの異なるオチがある原作版の最終回

一方、原作マンガはどうだったでしょうか。
最終回といえば、クレームが殺到したという伝説のニセ最終回(※第69巻収録の「両さんメモリアルの巻」)がありましたが、正真正銘、本当の最終回は「こち亀復活キャラベスト10」を発表する番外編的な内容で、30周年の際に行った「復活を希望するキャラクター大大発表会!!の巻」の焼き直しともいえるものでした。作中でも「この企画以前やりませんでしたか?」(中川)「いいんだよ10年ひと昔でみんな忘れているから」(両津)などと、ネタ切れであることを自虐的に語らせています。
まずは第10位~第2位まで、ランクインしたキャラ紹介が行われました。もちろん単なるキャラ紹介では終わらず、それぞれの小ネタを挟み、途中、第9~6位は名前だけの表示で終わらせ、両津に「ページ数が少ないんだよ」と言わせ、ギャグのネタとして機能させるあたりも飽きさせません。
面白いのが第1位の発表からの残り4ページです。なんと「週刊少年ジャンプ」に連載された最終回と単行本のラストを飾る第200巻ではオチが異なるのです。これは第200巻と連載版の最終回を同日発売(2016年9月17日)に設定した戦略で、作中でも両津にわざわざ「これは両方買ってもらういやらしい商法です」と言わせています。
さて、そのふたつのオチですが、まずは単行本から。単行本では第1位が両津となり、両津に賞状を授与した部長が「君はこれで自由だ」と言い、感動した両津は涙ながらに去って行きます。
しかしこれは邪魔な両津を排除するために大原部長が打った芝居だったのです。両津がいなくなった後で、「こち亀40周年パーティ」が盛大に開催されますが、ケータイを忘れた両津が戻ってきたことで、あえなくバレてしまいます。
だまされたことが分かった両津は、豪華な料理の数々に「ツバの舞」と称して次々とツバをかけていきます。そして、みなが料理に手を付けられず悔しがるなか、両津は舌つづみを打つ場面で終わります。『こち亀』のオチといえば、両津が失態を犯して激怒した部長の「武装お仕置き」が鉄板ですが、両津がみなをやり込める辺りが最終回らしいといえるのではないでしょうか。
続いて連載版はというと、なぜか第1位が「星逃田(ほしとうでん)」となり、「次号(43号)からレギュラー)」など1位の特典の数々を教えられ、星は有頂天になるも両津から『こち亀』終了を告げられ、一気に落ち込むというやりとりで2ページを消化。
そして最後の見開きに、歴代の主要キャラが勢ぞろいして、両津が「いままで応援してくれてありがとな!」と読者に伝える形でフィナーレを迎えました。いささか強引な展開ではありますが、それすらもネタとして使いつつも、華々しい最終回になっていたと思います。
また、それぞれ、続く見開きに「コミックス200巻に寄せて」「『こちら葛飾区亀有公園前派出所』連載終了によせて――」と異なるイラストと秋本からのメッセージが掲載されました。
なお、連載版は、その後、関連書籍に採録などは一切されていませんが、重版がかかったこともあり、中古市場では300円台と比較的安価で出回っているので、気軽に読むことができます。
※本文の一部を修正しました。(2025.3.17 16:00)
(トヨタトモヒサ)



