朝ドラ女優のイメージだと衝撃な実写化作品 「原作者も驚き」「深夜とはいえ…」
連続テレビ小説の主演女優である、いわゆる「朝ドラヒロイン」には、さわやかな印象を抱く人も多いでしょう。しかし、そんなイメージとのギャップが大きい、過激なマンガの実写化作品にも出演している女優も珍しくありません。
朝ドラとのギャップにびっくり

「朝ドラ」の愛称で親しまれるNHKの「連続テレビ小説」は、これまでに110作を超えるさまざまな作品を放送してきました。平日の朝に流れている朝ドラは長年習慣的に視聴している人も多く、主演をきっかけにお茶の間での知名度が急上昇する傾向にあります。
そんな「朝ドラヒロイン」のイメージで観ると、驚いてしまうような役を演じ「こんな役もできるんだ」と驚く声も出た、意外なマンガの実写化作品を振り返ります。
●黒島結菜『夏目アラタの結婚』
2022年前期に放送された朝ドラ『ちむどんどん』で料理人を目指すヒロインを演じた黒島結菜さんは、『アオイホノオ』(原作:島本和彦)や『クロサギ』(原作:黒丸/夏原武)などの実写化作品でもヒロインに抜擢されていました。
2024年に公開された映画『夏目アラタの結婚』(原作:乃木坂太郎)でもヒロイン「品川真珠」を演じており、こちらは日本を震撼させた連続殺人事件の死刑囚という、狂気的なキャラクターです。真珠は小柄で可憐なビジュアルで傍聴人を魅了する一方、幼少期に歯の治療が受けられなかった過去から歯並びがガタガタの状態となっています。
作者の乃木坂先生は、「連載開始当初から実写化のオファーを受けていたが、これまで『真珠の歯』の再現に躊躇する雰囲気の企画がほとんどで断っていた」「演じる人のイメージを損なう可能性を理解しつつも、『人生を奪われ続けた真珠の存在証明の象徴』として譲れなかった」といった旨のコメントを明かしています。そんな真珠の歯を黒島さんは特注のマウスピースによって5か月かけて再現、ニヤリと微笑む不気味な表情一発で観客を震撼させました。
●有村架純『ちひろさん』
2017年前期の『ひよっこ』ヒロインに選ばれた有村架純さんは、高い演技力で『アイアムアヒーロー』(原作:有村架純)や「るろうに剣心」シリーズ(原作:和月伸宏)など、話題の実写化作品でも大きな存在感を発揮していました。
有村さんは2023年にNetflixで配信、同時に劇場公開もされた映画『ちひろさん』(原作:安田弘之)で、主人公「ちひろ」を演じています。
海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働くちひろは、誰に対しても分け隔てなく接し、元風俗嬢である過去も隠さずに軽やかに生きるキャラクターです。はっきりとした描写ではなかったものの、シャワーを浴びる、下着になるといった場面だけでなく、弁当屋の常連客「谷口(演:若葉竜也)」とのベッドシーンもあり、有村さんに清純派のイメージを持つ人を中心に衝撃を受けたとの声も続出していました。
当初はひょうひょうとした雰囲気で口の悪いちひろを、有村さんが演じることに「透明感がありすぎて違和感」「もうちょっとクールさが欲しい」とキャスティングに疑問を持つ声もありましたが、実際に映画を観た人からは「ちひろさんの儚さが再現されてて良い映画観たなと思った」「ふとした瞬間に見せる孤独感をここまで演じてるのはすごい」と好評の意見が続出しています。
●高石あかり『アポロの歌』
これから朝ドラヒロインを演じる若手キャストでも、すでにいくつも衝撃的な役を演じている女優もいます。2025年後期に放送を控えている朝ドラ『ばけばけ』主演の高石あかりさんは、舞台で演じた『鬼滅の刃』(原作:吾峠呼世晴)の「竈門禰豆子」をはじめ、さまざまな漫画キャラクターを演じてきました。
強烈な悪役としては、2023年公開の『わたしの幸せな結婚』(原作:顎木あくみ)でヒロイン「斎森美世(演:今田美桜)」を虐げる異母妹「斎森香耶」が、記憶に新しい方もいるのではないでしょうか。美世を使用人のようにこき使うだけでなく、淹れたてのお茶をかける、水責めするといった傍若無人な振る舞いや、嫉妬の感情表現で観客に強烈な印象を残しました。
最近では、高石さんは2025年2月に放送が始まったドラマ『アポロの歌』(原作:手塚治虫)で、主人公「近石昭吾(演:佐藤勝利)」の幼なじみ「渡ひろみ」を演じています。女神から「何度生まれ変わってもひとりの女性を愛し、結ばれる前に死ぬ」という罰を与えられた昭吾は、さまざまな世界でひろみそっくりの女性と出会うも、悲しい結末を迎えるようになるのです。
ドラマ第4話からはひろみと瓜ふたつの合成人「シグマ王」の暗殺を命じられた昭吾が、任務とひろみの面影を持つシグマ王との間で揺れ動く姿が描かれました。高石さんは抑揚のない無機質な声のトーンと瞬きをしない表情で、人間離れしたシグマ王をみごとに演じています。
昭吾に瞬きをしないままキスをしたり、抱き合いながら無機質な声で昭吾の名前を連呼するシグマ王には「昭吾への愛情から少しずつ変化する描写をここまで演じられるのすごい。こりゃ朝ドラヒロインに選ばれますわ」「人間じゃない不気味な雰囲気、ここまで演技でできるんだ」と、驚きの声も寄せられていました。また、最終回での慟哭(どうこく)の演技も絶賛されています。
●見上愛『liar』
2026年度前期放送予定の朝ドラ『風、薫る』の主演を務める見上愛さんは、これまで数々の過激な実写化作品に出演しています。
主人公の元恋人で「自分の出産ドキュメンタリーを撮ってほしい」「そのために精子をちょうだい」とお願いするヒロイン「日下部日和」を演じた『往生際の意味を知れ!』(原作:米代恭)も強烈でしたが、コミカライズ作品も大ヒットした小説『liar』(作:もぁらす)が原作のドラマでは、見上さんが挑戦した濃厚なラブシーンが話題を呼んでいました。
見上さん演じる「成田美沙緒」は、同じ部署の無愛想な先輩「市川一哉(演:佐藤大樹)」からのメールをきっかけに、徐々に惹かれていきます。美沙緒は、「お前のことスキ」と明らかに好意のあるメールを送ってくる市川に恋人がいると知りながら、ついに肉体関係を持ってしまいました。
「このまま寝てしまえば私は完全に浮気相手」と、シャワーを浴びる美沙緒のモノローグから始まる第1話冒頭では、「いきなりぶっ込んできた」「心臓もたない」と、開幕早々濃厚なラブシーンが描かれ、SNSは騒然とします。完成披露トークイベントで、市川を演じた佐藤さんがキスシーンの多さに驚いたことを明かしているように、深夜帯でもびっくりしてしまうような毎話の過激な場面も話題となりました。
※高石あかりさんの「高」は正しくは「はしごだか」
※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記
(田中泉)