作者自身も「なんで今さら?」 大逆転でアニメ化遂げた「打ち切り」マンガ
数あるマンガのなかには、打ち切りとなって消えていく作品も数えきれないほど存在します。しかし、打ち切りになったのにもかかわらず、なぜかアニメ化されるという、希有な経過をたどった作品もあるのです。
まさに「人生何が起こるか分からない」を体現した打ち切り作品たち

マンガ作品のアニメ化は、当初から予定されていたものを除けば、基本的に人気作だから実現するものです。しかし、なかには、作者でさえも「なんで今さら?」と思ってしまうような、「打ち切り」作品がアニメ化されたこともあります。そういったマンガの、信じられないような大逆転エピソードを振り返りましょう。
たとえば、「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて短い連載期間で終わった『D・N・A2 ~何処かで失くしたあいつのアイツ~』(作:桂正和)は、完結後アニメ化に至った作品です。
同作は、人口過密になった未来の世界からやってきたDNAオペレーター「葵かりん」が、人口増加の原因である「メガプレイボーイ」のDNAの持ち主ながらさえない男子高校生「桃生純太」に、間違った「D・C・M(DNA変化薬)弾」を撃ったことで、純太が覚醒してモテまくる物語です。
同作は1993年から連載が始まるも、たった約10か月で物語の幕を閉じてしまい、打ち切りともいわれています。しかし、1994年にアニメ化され、さらにOVAも制作されました。また、アニメのオープニング曲にはL’Arc~en~Cielの「Blurry Eyes」、エンディング曲にはシャ乱Qの「シングルベッド」が使われており、いま振り返ると意外に感じる人も少なくないでしょう。
ちなみに、同作にはレジェンド漫画家との逸話もあります。『桂正和×鳥山明 共作短編集 カツラアキラ』(集英社)に掲載された対談によると、鳥山先生に「(登場キャラを)金髪にしたらどうだ」と勧められ、桂先生は「『ドラゴンボール』になっちゃうからまずい」と思ったものの仕方なく採用した結果、鳥山先生のファンから抗議の手紙がたくさん届いたそうです。
また『るろうに剣心』の作者である和月伸宏先生が描いたマンガ『武装錬金』も、打ち切り後にアニメ化までたどり着いた作品です。同作は「ホムンクルス」と呼ばれる怪物との壮絶な戦いを描いた錬金術バトルファンタジーで、2003年に「ジャンプ」にて連載が始まったものの2005年に終わってしまいます。
しかし、単行本は売れていた本作は、その後に「赤マルジャンプ」2005 SUMMERで『武装錬金ファイナル』、「赤マルジャンプ」2006 WINTERで『武装錬金ピリオド』と、前後編で真の最終話が掲載されました。そして、2006年にはアニメ化されて人気を博します。
そのほか、クセが強すぎる女子高生たちの日常を描いたマンガ『女子高生の無駄づかい』(作:ビーノ)も、打ち切り後に奇跡の復活を遂げています。
同作は2017年に第3巻を発売した後に打ち切りとなりましたが、復活を望む声が多く寄せられたことで終幕から9か月後に連載再開となり、コミックスの重版も決定します。さらに快進撃は続き、2019年にアニメ化、2020年にはドラマ化にも至りました。「電撃ホビーウェブ」のインタビューによると、ビーノ先生はアニメ化を聞いたときに別の連載を始めたタイミングだったこともあり「なんで今更!?」と思ったそうです。
(LUIS FIELD)