コンプラ? 長すぎ? いろんな形で大人気なのに「アニメ化されない」マンガ
人気のマンガが大ヒットすれば、誰しもがアニメ化を期待するものですが、なかには「人気作なのにアニメ化されない作品」が存在します。名作ゆえに、ネット上では、いまだにアニメ化されない理由について議論が交わされているようです。
憶測が飛び交うアニメ化されない理由

単行本の売上が好調なのはもちろん、実写化や舞台化などメディアミックス展開もされるほど人気コンテンツなのにもかかわらず、なぜかアニメ化には至らないマンガはいくつかあります。
たとえば1990年から1993年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載された『花の慶次 -雲のかなたに-』(原作:隆慶一郎/作画:原哲夫/脚本:麻生未央)は、いまだにアニメ化されていません。
同作は戦国時代を舞台に、実在の武将で傾奇者(かぶきもの)だった「前田慶次」を中心とした「豊臣秀吉」「直江兼続」「真田幸村」などの、熱い男たちの生き様が描かれた物語です。コミックスの累計発行部数は1800万部以上で、さらにパチンコやスロットにも展開し人気を博しています。しかし、スピンアウト作品『義風堂々!! 直江兼続 ~前田慶次 酒語り~』(原作:原哲夫、堀江信彦/作画:武村勇治)のアニメ化は実現したものの、メインとなる『花の慶次』はいまだに何の動きもありません。
人気作なこともあって、ネット上ではたびたび「アニメ化されない理由」について議論が交わされているようで、「夜ばいや男性器の下ネタ、惨い人の死とかの描写があるから地上波放送は厳しいと思う」「シンプルにパチンコとの版権問題ではないか」「原作の隆慶一郎さんの関係者サイドが拒否しているのかも」などと予想する意見が出ています。
また、同じ時代劇系では、吉川英治さんの小説をもとに剣豪「宮本武蔵」の生涯が描かれた井上雄彦先生のマンガ『バガボンド』も、累計発行部数が8200万部以上を記録しているのにもかかわらず、アニメ化されていません。
同作は1998年から「モーニング」(講談社)で連載が始まり、2015年2月を最後に休載が続いている作品で、「休載が原因でアニメ化できない」と考えるファンも少なくないようです。さらに「井上先生の圧倒的な作画を再現するのは難しい」「生々しい残虐シーンがある」などの観点から、アニメ化に踏み切れないともいわれています。
ちなみに、2022年に公開されたアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』の公式サイトで、監督も務めた井上先生は『バガボンド』について「まだ終わっていないんですけど。もうね、早く描きたいんです」「描きたい気持ちはずっとあります。ただ、描けないっていうだけで」と述べています。『バガボンド』の連載が再開された際には、ファンの間で「アニメ化論争」が過熱するかもしれません。
また単行本の累計発行部数3600万部を超えた『本格科学冒険漫画 20世紀少年』(作:浦沢直樹)も、2008年から2009年にかけて3部作で作られた実写化映画はヒットしたものの、なぜかアニメ化に至っていない作品です。
1999年から2006年まで「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にて連載された同作は、主人公「ケンヂ」と世界の滅亡を企む謎の人物「ともだち」との戦いを描いた物語で、綿密な展開が評価されていくつものマンガ賞を受賞しています。
アニメ化されない理由としてささやかれているのは、単行本全22巻に加えて完結編『本格科学冒険漫画 21世紀少年』上下巻に及ぶ壮大なストーリーです。「人気がなくても1クールで終わるわけにはいかないし、長編アニメとしてやりきってもリターンがあるかも分からない」との声が出ています。ほかには、作中にカルト教団のトップ「ともだち」が登場することをあげ、「地上波で宗教絡みでのテロ行為を描くのはあまりにも危険過ぎる」と指摘する人もいました。
(LUIS FIELD)