衝撃描写続いた青年マンガ原作映画　「朝ドラヒロインが？」「意外と年齢制限ゆるめ」

年齢制限も納得するほどの激しさ

　激しいベッドシーンや暴力的なシーンが描かれているマンガの実写化は、原作さながらの再現度を目指すと年齢制限は避けられません。果敢にも原作の再現に挑んだ映画を振り返ります。

●『うわこい』R15+

「月刊ヤングキング」（少年画報社）にて、2011年から2014年にかけて連載されていたマンガ『うわこい』（作：糸杉柾宏）は、主人公「環 雪輝（たまき ゆきてる）」と幼馴染の「桐嶋ユノ」、転校生の美少女「早乙女レナ」の三角関係を主軸とする物語です。2014年には映画版が公開されており、濡れ場も多くR15+指定となっています。

　ユキテル（演：石田知之）とユノ（演：柳ゆり菜）は、学校でも公認のカップルとして知られるほど仲が良かったものの、ある日転校してきたレナ（演：本山なみ）との出会いをきっかけに、ユノとの関係が揺らぎ始めます。

　ユノを大切に思うゆえに一歩踏み出せなかったユキテルが、レナの誘惑を受けて河原で行為に及んでしまうシーンには、「原作にもあった場面とはいえ、まさかここまで再現しようとするとは」「びっくりする部分多かったけど、ユキテルの心理描写もしっかり描かれてて、ただいやらしいだけの映画じゃなかった」といった声もあがっていました。

　レナとの関係にのめり込むうちに、他の女性たちとも関係を持ってしまうユキテルの姿を描いた本作は、続編『うわこい2』も公開されており、さらに激しいシーンも加わったことで引き続きR15+指定となっています。

●『ばるぼら』R15+

　1970年代に手塚治虫先生が発表したマンガ『ばるぼら』は、耽美派の人気小説家「美倉洋介」があるとき出会った少女「ばるぼら」におぼれていく作品です。手塚先生の実子である手塚眞監督と、主にウォン・カーウァイ作品で知られる撮影監督クリストファー・ドイルさんがタッグを組み、2020年に映画化されました。

　新宿駅の片隅で酔っ払っていた、ホームレスのような少女「ばるぼら（演：二階堂ふみ）」は、美倉（演：稲垣吾郎）」にとって創作意欲をかき立てるミューズのような存在で、次第に美倉はばるぼらを手放せなくなっていきます。

　原作マンガは性的な場面だけでなくスキャンダルやオカルティズムなど、さまざまなタブーに切り込んでいることから「実写化不可能」とさえ言われていました。しかし主演の稲垣さん、二階堂さんが挑んだ過激シーンは徹底的にこだわったであろうカメラワークや、照明が幻想的な雰囲気を演出しており、いやらしさよりも映像美が印象的な場面となっています。

　R15+指定で万人向けではないですが、「ハッとするほどの美しさが魅力的な作品」「こんなに原作そのままのキャラが再現されてるとは思わなかった」と絶賛の声も相次ぐ本作は、一見の価値ありといえます。まだ、二階堂さんがNHKの連続テレビ小説『エール』でヒロインを演じている最中に公開されたことも、話題を呼びました。

●意外とPG12で済んだ『無限の住人』

　1993年から2012年にかけて連載されていたマンガ『無限の住人』（作：沙村弘明）は、2017年に実写化されています。本作は不老不死の肉体を持つ伝説の人斬り「万次」を元SMAPの木村拓哉さんが演じ、国内外で高い人気を誇る三池崇史監督がメガホンを取ったことでも大きな話題を集めました。

　作中では意図せず不死身となってしまった万次の激しいバトルシーンも多く、首が切り落とされるような身体損壊や、圧倒される量の鮮血が見られるシーンも描かれています。2008年に放送されたアニメ版にも過激な描写が多く、実写版も「バイオレンスの巨匠」とも謳われる三池監督の作品のため「年齢制限は避けられないのでは？」とファンの間で言われていたものの、意外にも12歳未満の子供が観るには保護者による配慮が必要な「PG12」の指定に留まりました。

　PG12指定作品の過激さにはばらつきが出る傾向があり、本作を観た人の間では「グロが苦手な人にはおすすめできない」という意見もありながらも、「戦闘シーンの迫力がすごくて見ごたえがあった」「バイオレンス描写モリモリの痛快な殺陣はテンション上がった」と本格的なアクションに魅了された人も続出しています。