未完に終わった『イタズラなKiss』 映像で「その後」描かれるも、「続きが読みたい」の声
名作といわれるマンガのなかには、原作者の逝去により未完のまま幕を閉じたものがあります。大人気作品『イタズラなKiss』もそのひとつで、原作で描かれなかった「その後の物語」は、アニメやドラマで描かれました。では、原作の最終話や映像化版で描かれた結末はどのような内容だったのでしょうか。
「構想メモで」物語を補完し、ファン感涙

1990年から1999年まで、「別冊マーガレット」で連載された大人気ラブコメディ『イタズラなKiss』は、原作者の多田かおるさんの急逝により、物語が途中で幕を下ろしました。原作は未完のまま終了したものの、アニメや実写化によってその後の展開が描かれ、現在も多くの人に愛されています。先日マグミクスで配信した記事「昭和100年に振り返る『未完の名作マンガ』に切実な声が続出?」にも、「もう叶わないけれど、多田かおる先生による続きが読みたかった」といった読者の声が複数寄せられました。
未完となった原作の最終話は、どのような内容だったのでしょうか。
物語は、勉強が苦手でドジな女子高生「相原琴子」が、成績優秀で無口なイケメン「入江直樹」とひょんなことから同居生活を始めるところから幕を開けます。冷たく見えて実は心優しい直樹と、困難にもくじけず突き進む琴子は、同居を通じて急速に距離を縮め、高校生から社会人、結婚後の日常へと物語が続いていきました。長い年月をかけて成長していくふたりの姿には、魅了された人も多いでしょう。
当時の少女マンガでは「両思いになって完結」が主流だったなか、『イタズラなKiss』は結婚後の関係性まで丁寧に描いた点が大きな特徴です。
そんな本作は、脳出血のため原作者の多田さんが逝去し、188話を最後に物語が未完のまま終了しました。最終話では、小児外科で勤務する直樹と、看護師として働く琴子がふたりで夜勤をし、急患の子供に処置をする姿が描かれています。そして、患者のお世話やインフルエンザにかかった家族の看病などで忙しかった琴子は、病院で倒れてしまうのです。
その後、自宅のベッドで目を覚ました琴子は、直樹に「妊娠していないか」と言われ、その真相が明らかにならないまま物語は幕を閉じました。突然の連載終了に、多田さんの訃報を惜しむ声や、「エンディングが読めないのはショック」「どんな家族をふたりは築くのか楽しみだったのに」といった落胆の声が多くあがりました。
そして、多田さんがこの世を去ってから9年後の2008年、TVアニメの放送が始まります。このTVではマンガで描かれなかった結末が描かれ、視聴者からは「最終話エンディングの多田先生へのメッセージで号泣した」「見たかった続きが映像で補完されて感動した」と、大きな反響を呼びました。
2008年3月に行われたアニメ化に伴う会見で、多田さんの夫である西川茂さんが原作者代表で出席し、1999年(亡くなられた年)の正月には多田さんから「今年で終了させる」と相談を受けていたことを明かしています。そして、未完の部分を構想メモや相談の内容から構成し、アニメでの完結に至ったそうです。
作中、琴子が娘の「琴美」を出産するエピソードや、その数年後、直樹への「行ってきます」のキスをめぐって成長した琴美と琴子で争うシーンなど、仲睦まじい家族の姿が描かれ、待ち望んだ「琴子と直樹の家族の行方」に涙した原作ファンも少なくないでしょう。
さらに、日本では2013年から2014年にドラマ版がリメイクされ、台湾でも2005年から2006年にかけてドラマ化されました(連載中の1996年に最初のドラマ化がありました)。日本版ドラマでは、妊娠が発覚した原作ラストの展開を踏襲し、最後に親子3人が手をつないで川辺を歩く短いシーンが挿入されています。
なお、『いたずらなKiss』は韓国でも2010年にドラマ化され、人気俳優のキム・ヒョンジュンさんが出演するなど話題になりました。原作をコンパクトにまとめた本作では、娘を出産するなどのエピソードは描かれませんでしたが、登場人物たちが軍隊に入隊するなど、韓国ならではの改変も見どころとなっています。
(LUIS FIELD)



