『あんぱん』のぶが起こす「ハンドバッグ事件」に注目 史実ではこれきっかけで暢さんに「求婚してきた」男がいた?
朝ドラ『あんぱん』73話では、のぶが質屋の店員にハンドバッグを投げ付けてしまいます。史実では、そこからさらに驚きの出来事が起きていました。
やなせたかしさんが焦った恋のライバル

2025年前期のNHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』72話では、「柳井嵩(演:北村匠海)」が、主人公「若松のぶ(演:今田美桜)」が働く新聞社「高知新報」の挿絵を急遽(きゅうきょ)仕上げ、無事採用されました。そして、続く73話では、のぶがハンドバッグにまつわる事件を起こすことが予告されています。
※この記事では『あんぱん』の今後の展開に関係しそうな史実の出来事に触れています。
物語のモデルとなった、『アンパンマン』の作者であるやなせたかしさんと、その妻の小松暢さんは、高知新聞の同僚として出会い、短い間ながら「月刊高知」の編集者としてさまざまな仕事をしました。そして、73話で描かれる「ハンドバッグ事件」も、いくつかの書籍で事実として語られています。
発表されている『あんぱん』73話のあらすじを見てみると、のぶと嵩が質屋に広告費を回収しに行き、そこで店員に嵩が描いたマンガをけなされ、のぶが怒ってハンドバッグをぶつけてしまう、とのことです。モデルの暢さんは、ドラマで描かれているようにハチキン(土佐弁で「おてんば」「勝気な女性」の意味)で、とある商店に広告費を回収しに行った際に自分を女だからと甘く見てお金を払わない店主に、ハンドバッグを投げ付けたといいます。
そして、史実ではここからさらに驚きの事件が起きていました。なんと、このときの暢さんの毅然とした態度を目撃して、彼女に求婚してきた人がいたのです。
このことは同僚だったやなせさんも、かなり驚いたことを振り返っていました。自著『アンパンマンの遺書』によると、その求婚してきた男性は、仕立てのいい背広を着た紳士で、すでに暢さんに惚れていたやなせさんは「(恋)敵の方が僕よりはるかに優れていると思った」そうです。この紳士は外国暮らしが長く、日本の女性はおとなしくて好みではないと思っていたときに、暢さんのハンドバッグ事件を目撃して彼女と結婚したいと思ったのでした。
そして、高知新聞にはその紳士の妹がスイカやミカンなどの土産を持ってやってくるようになり、暢さんへ兄と結婚してくれるよう頼んでいたといいます。
しかし、暢さんはその話を断り、その後やなせさんと恋人となりました。さらに1946年の年末、高知県出身の代議士の秘書となるため、やなせさんよりも半年先に高知新聞を辞めて上京しています。ふたりが付き合うきっかけも、やなせさんの自伝でドラマチックに語られています。
『あんぱん』でここから嵩の恋敵が出てくることはなさそうですが、のぶが質屋の店員にハンドバッグを投げ付けることで、物語にどのような影響が出るのか、要注目です。
参考書籍:『アンパンマンの遺書』(岩波書店 著:やなせたかし)、『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』(文藝春秋 著:梯久美子)、ムック『やなせたかし はじまりの物語: 最愛の妻 暢さんとの歩み』(高知新聞社編集)
(マグミクス編集部)
