大物武将の“ナレ死退場”続出し「斬新すぎ」と話題に 再注目集まる大河『真田丸』の忘れられない演出
主人公の「真田信繁(幸村)」の視点から戦国時代末期を描いたNHK大河ドラマ『真田丸』は、2016年に放送された大人気作品として知られています。そんな本作で放送当時に大きな話題となった演出のひとつが、ナレーションによって人物の死が処理される「ナレ死」でした。
徹底された「真田家目線」の物語

2016年にNHKで放送された大河ドラマ『真田丸』は、三谷幸喜さん脚本、堺雅人さん主演で、「真田信繁(幸村)」の視点から戦国時代末期を描いた作品です。2026年4月から「Amazon Prime Video」で配信が始まり、あらためて作品に触れる視聴者も増えています。本作にはさまざまな見どころがありますが、なかでも放送当時に話題となった演出が、ナレーションのみで人物の最期を伝える「ナレ死」でした。
●本能寺も山崎もナレーション一本勝負
まず視聴者を驚かせたのが、戦国時代の大きな事件「本能寺の変」の描かれ方でした。第4話の終盤、安土の地に赴いていた信繁は、「織田信長(演:吉田鋼太郎)」が進めた楽市・楽座によって活気づく城下町に感銘を受けます。新しい時代の到来を予感させる展開でしたが、その夜、「敵は本能寺にあり」の掛け声のもと、「明智光秀(演:岩下尚史)」の軍勢によって本能寺に火が放たれるのでした。
その際、火中に崩れ落ちる甲冑の描写とともに「天下統一を目前に織田信長は死んだ」という短い言葉で、信長の最期が伝えられます。続く第5話以降では、本能寺の変直後から物語が展開されますが、首謀者の光秀が討たれた「山崎の戦い」も映像化されず、「6月13日、明智光秀は山崎の合戦において羽柴秀吉に敗れた」というナレーションのみで決着が告げられました。
さらに、「関ヶ原の戦い」で東軍側に寝返った重要人物「小早川秀秋(演:浅利陽介)」も「小早川秀秋は関ケ原の合戦より2年後、自分のしたことの罪の重さにさいなまれ、21歳で謎の死を遂げる」と、どこかコミカルなナレーションとともにナレ死しています。
数々の戦いや大事件に関わる人物をナレーションのみで退場させてきた本作ですが、その背景には徹底した「真田家目線」の物語づくりがありました。本能寺の変では、真田家が織田家に従った直後だったこともあり、事件そのものよりも、織田側につくのか、明智側に寝返るのかという決断に焦点が当てられています。
また、関ヶ原の戦いでは、真田家のなかで信繁の父「真田昌幸(演:草刈正雄)」と信繁が西軍、信繁の兄「真田信幸(演:大泉洋)」が東軍と敵味方に分かれてしまう「犬伏の別れ」の描写に重きが置かれたため、天下分け目の決戦そのものは大幅に省略されました。
視聴者からは本作のナレ死について、「思い切った演出で衝撃だったけど観やすかった」「死に様を描かなかったのは当時、斬新すぎた」と驚いた人も多かったようです。
ちなみに、同じく三谷さんが脚本を担当した『鎌倉殿の13人』でもナレ死演出がたびたび用いられていました。
●まさかのナレ死回避した人物も?
一方、ナレーションによる「ナレ死」演出を逆手に取った意表を突く場面もありました。第26話では、信繁の祖母「とり(演:草笛光子)」が危篤状態となり、いつものナレーションが入りかけます。しかし、とりは「ちと早すぎた!」と言い放ってむくりと起き上がり、信繁と信幸を呼び寄せます。そして、「たとえ離れ離れになっても、真田はひとつ。心さえつながっておればな」と言い残しました。
視聴者を安心させたのも束の間、とりはその後ナレーションによって最期が伝えられます。この一連の流れは、笑いと哀愁を同時に生む三谷さんらしい演出として話題になりました。こうした「ナレ死」の積み重ねが放送回を追うごとにファンの注目を集め、現在も『真田丸』を語るうえで外せない特徴のひとつとして多くの視聴者の記憶に刻まれています。
(LUIS FIELD)

