『鬼滅の刃 無限城編 第一章』は「映画館で観ないと損」なワケ 満席の劇場で感じた「圧倒的没入感」
全編アクションで息つく間もない見せ場の連続

そんな緻密に作りこまれた無限城の3D空間でキャラクターたちが激しく動くアクションシーンが大量に描かれます。最終局面ですからほとんど全編戦闘シーンで、空間も動けばキャラクターも動くために、そのレイアウト設計と作画作業も相当に大変だったはずです。
今回描かれた胡蝶しのぶvs童磨、我妻善逸vs獪岳、炭治郎&冨岡義勇VS猗窩座は、それぞれ戦い方も異なるので、アクションの見せ方も異なります。多くのアイデアがつぎ込まれていて単調にならず、全く飽きさせない作りになっているのはさすがです。
公式パンフレットによれば、あまりにもアクションシーンが多いために、4人のアクションアニメーターをリーダーとするチームを作り、リーダーがラフでアクションを組み立てチームで作画していくという方式が採られたそう。
原作の戦闘パートをなぞるだけでなくふんだんに膨らませており、どの戦いも迫力と壮麗さに彩られた素晴らしい仕上がりになっています。
●感動エピソードもたっぷり尺を使って描写
本作は大部分がアクションで彩られているものの、過去のエピソードなど、感動的な部分にもたっぷりと尺を使っています。しのぶとその姉・胡蝶カナエとのやりとり、善逸と獪岳の因縁、そして猗窩座の過去にも触れられます。とりわけ、猗窩座の過去のエピソードはふんだんに尺を使ってじっくりと描いていて、はしょることなく情感あふれるシーンになっています。
このエピソードの丹念な演出と芝居の組み立てによって、猗窩座がどうして強さばかりを求めているのか、説得力を持って表現されるようになっていて、涙腺が緩みます。
観終わって感じるのは、大事な要素を一切削っていないということ。無理に尺を決めてそこに当てはめるようなことをせずに必要な時間をかけて、じっくり描いているのがよくわかります。だからこそ、本作は155分の長さが必要だったのです。
映像の密度、迫力、そして感動が155分の長尺に詰め込まれていました。映画館で見る価値のある作品ですから、是非満席の劇場で体験してください。
(杉本穂高)




