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なぜ『Zガンダム』の時代には可変機が戦場を席巻したのか 3つの陣営それぞれの事情

『Zガンダム』では各陣営とも、さまざまな可変MS/MAを開発、運用していました。ただそうなったのには、それぞれに理由があるようです。やがて廃れていった理由もあわせて見ていきましょう。

「少数精鋭」と「物量作戦」 陣営ごとに異なる可変MSの使い方

ティターンズの可変MA。「HG 1/144 ギャプラン」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
ティターンズの可変MA。「HG 1/144 ギャプラン」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

『機動戦士Zガンダム』の時代には、さまざまな可変モビルスーツ(MS)やモビルアーマー(MA)が活躍しました。主人公機である「Zガンダム」も可変MSであり、敵である「ティターンズ」の「アッシマー」や「ギャプラン」といった可変機に苦戦を強いられています。初代『機動戦士ガンダム』の時代には見られなかった可変機が、なぜ7年後には戦場を席巻したのでしょうか。

 まず、Zガンダムが所属する「エゥーゴ」は、連邦軍の反抗勢力とスペースノイドで構成された小規模な部隊でありながら、宇宙と地球を行き来する多様な作戦を遂行する必要がありました。そのため、単機で空戦、宇宙、地上、大気圏突入など多様な任務を高効率でカバーできるMSが求められたのです。

 実際にZガンダムが関わった作戦、たとえば敵対組織「ティターンズ」の拠点「ジャブロー」や「グリプス2」への襲撃、地球連邦政府の議会がある「ダカール」の占拠などは、地上と宇宙を高速で移動できる可変MSでなければ不可能な任務ばかりでした。

 もうひとつのエゥーゴの可変MS「メタス」も、最前線での戦闘から、味方機「百式」のメガバズーカランチャーへのエネルギー供給、さらにMA形態でZガンダムをけん引するなどフル活用されており、優秀なワンオペぶりを発揮していました。

 一方、地球連邦軍の強力な支援を受けていたティターンズは、人員、戦力ともに非常に豊富でした。部隊主力は状況に応じて最適なMS/MAを複数運用できる体制があり、単機で全任務をこなせる可変機の必要性は薄かったはずです。

 しかし実際には、エゥーゴ以上に多くの可変機を投入しています。その理由のひとつは、エゥーゴやスペースノイドへの威圧を意識してのことでしょう。そもそも物語の始まりとなった「ガンダムMk-II」のテスト運用も、新型MSと特殊部隊の力を見せつける一面もありました。最新鋭の可変機の投入も、その一環と解釈できます。

 また、ティターンズ内部で激しい競争があったことも要因のひとつと思われます。開発拠点として「オーガスタ研」「ムラサメ研」「オークランド研」と3つも抱えていた上、エース幹部の「パプティマス・シロッコ」自身もMS/MAを開発する力を持っていました。それぞれに豊富な資金があったため、独自の強力な可変機の開発が組織内の権力争いに直結したのでしょう。

 ティターンズの可変機には、それぞれ合理的な開発目的がありました。たとえば、アッシマーは「大気圏内での飛行能力と空中戦に特化した円盤型MAに、MSへの変形能力を持たせることで格闘戦も可能とする」こと、ギャプランは「宇宙と大気圏内の両方で高い加速力と突撃力を持ち、強襲や迎撃に対応する」ことです。しかし、用途が重複する可変機が同じ戦場に投入されていたのは、リソースの無駄遣いとの評価もできるでしょう。

 かたやジオン残党の「アクシズ」は、かなり事情が異なりました。『Z』時代に投入した可変MS「ガザC」は、推進力や運動性、高出力のビーム兵器を持たないなど、先行する可変機と比べて性能面で大きく劣っていました。

 ガザCはもともと作業用機体を軍事転用した経緯があり、「安価で大量に揃えられる」こと、「物量」による戦力維持が重視されていました。アクシズは地球圏から孤立し、資源や人材、技術が不足していた可能性が高い状況にあったのです。他陣営では「高コスト、高性能、エース専用機」というイメージの可変機をあえて逆手に取り、戦力を水増しする狙いもあったのかもしれません。

 開発コストが高く、メンテナンスにも手間がかかる可変MSは、「少数精鋭」のエゥーゴと、「資金と技術力が有り余る見栄っ張り」のティターンズが退場した後は、廃れていくのが必然だったのでしょう。

(多根清史)

【画像】リソースの無駄づかい? こちらティターンズのおもな可変機です(6枚)

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多根清史

フリーライター。主にゲーム・アニメ・漫画を守備範囲としてきたほか、ここ数年は(個人的なガジェット好きもあり)iPhoneやスマートフォン、インターネットやPCなどハイテク全般の記事も執筆。著書に『宇宙世紀の政治経済学』『教養としてのゲーム史』、共著に『超ファミコン』『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』など。

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