『あんぱん』なんか今週の嵩「モテすぎ」では? やなせたかしも「有名人と意気投合」「女性ファン急増」していた
『あんぱん』の嵩のモデルであるやなせたかしさんは、多彩な仕事でさまざまな女性と出会っていました。
出会った女性著名人も凄すぎ

『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんとその妻の暢さんをモデルにした2025年前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』第21週では、漫画家以外の仕事が忙しくなった「柳井嵩(演:北村匠海)」と妻「のぶ(演:今田美桜)」の関係がぎくしゃくしています。今週に入ってから、歌手の「白鳥玉恵(演:久保史緒里)」が嵩との打ち合わせで柳井家に上がり込んだり、NHKの「まんが教室」に出演して有名になった嵩がカフェでホステスたちに囲まれたりと、「女性関係」で気まずい場面があったのも印象的です。
実はやなせさんも1953年に三越を辞めてフリーになって以降、何度か「女性にモテる?」体験をしており、当時のことを著書で振り返っています。
1958年5月には、やなせさんは後に「手のひらを太陽に」(作詞:やなせたかし/作曲:いずみたく)を最初に歌うことになる女優の宮城まり子さん(白鳥のモデル)に、電話で自宅へ呼び出されたそうです。さらにそこで庶民的な昼食のメニューを一緒に食べ、その後リサイタルの構成の仕事を頼まれます。
やなせさんはこの体験を振り返って、「(電話で)独特の甘えるような声で言ったので、ぼくはたちまちフラッとしてしまった」「(普通の昼食を出されて)これにはやられてしまった。ぐっと親近感が増して、この人のためなら何でもしようと思ってしまった」と語っており、未経験だった構成の仕事を快諾したそうです。
また、やなせさんが1964年から1966年にかけてNHKの番組『まんが学校』に出演して知名度が上がり、「モテた」のも実話でした。各地で子供たちからサインを頼まれるのはもちろん、こんな体験もしたといいます。
「つきあいでバーへ行くと、ホステスが『あーら、やなせ先生、お逢いしたかったの』とすり寄ってくる。これが全部子持ちホステスの身の上相談で、『ねえ、先生、うちの子が漫画家になりたいっていうのよ。一度絵をみてやってくれない』とか色気のないことおびただしい。これではうっかり手も握れない。なにしろ子供相手の先生なのだから、行状をつつしまなくてはならない」
どうやら、『あんぱん』104話と似た出来事が起きていたようです。
そのほか、『あんぱん』でまだ描かれていない部分で、やなせさんが「うれしかった」と振り返っているのは、1966年に処女詩集『愛する歌』を出したときのことでした。この年、やなせさんは別の仕事で知り合った山梨シルクセンター(のちの株式会社サンリオ)の社長、辻信太郎さんの提案で、脚本を担当したラジオドラマ用に書いた歌詞などをまとめた詩集を作ったのです。
予想を超えるヒットとなった『愛する歌』は特に女性ファンが多く、地方でサイン会を開いても若い女性がたくさん来たと言います。ある時には女性下着売り場のど真ん中でサイン会が開かれ、やなせさんに下着へのサインを求める人もいたそうです。また中学生から大学生まで、さまざまな女学生からのファンレターも届きました。
そのなかには「今まで詩はむつかしくて嫌いでしたが、やなせさんの詩を読むと、この程度なら私でもつくれると思ってうれしくなりました」というような内容の手紙も多かったそうですが、やなせさんは「女性にはモテたことがないので、花模様の封筒に入った絵入りの手紙がとどくのはうれしかった」と語っています。
詩の内容からやなせさんを20代の青年だと勘違いしていたファンもいた(実際は当時47歳)そうで、それについてはやなせさんは「ぼくの人生の中で、青春時代十年が(戦争のせいで)欠落している。ぼくは詩の中で勝手に青春を楽しんでいたのだが、それが誤解を招く結果となった」と振り返っていました。
そのほか、やなせさんは『まんが学校』の隣のスタジオで収録していたNHKのバラエティー『夢であいましょう』(1961年~1966年)に出ていたファッションデザイナーの中嶋弘子さんと仲良くなったり、映画雑誌に寄稿していた際の編集者だった当時20代の向田邦子さんと意気投合して、一緒に展覧会に行ったことなどを書籍に綴っています。
もちろん、やなせさんは生涯にわたって暢さんを大事にしており(1993年に死別)、おしどり夫婦として知られていますが、受ける仕事が多岐にわたっていただけに、意外な出会いも多かったようです。これから『あんぱん』では『愛する歌』出版のエピソードも描かれると思われますが、その際に嵩がどれほど「モテて」しまうのかも気になります。
参考資料:『人生なんて夢だけど』(フレーベル館 著:やなせたかし)、『アンパンマンの遺書』(岩波書店 著:やなせたかし)、『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』(文藝春秋 著:梯久美子)
(マグミクス編集部)

