元は「コメディ」や「お色気」だったの!? 大変貌に驚く、連載中に“作風一変”したマンガ3選
連載中のマンガは、作者の心境の変化や編集部の助言によって、ジャンルや作風が大きく変わることがあります。こうした「路線変更」によって逆に新しい魅力が加わり、より一層、人気を集めて成功した作品もありました。
作者の思い切った決断が人気作品のきっかけに

世の中に数えきれないほどあるマンガは、「ラブコメ」「バトル」「ギャグ」などとジャンル分けされます。ただ、そのジャンルが連載中に変更され、作品の雰囲気が一変することもありました。
●『はねバド!』
2013年から2019年にかけて「good!アフタヌーン」(講談社)で連載された『はねバド!』(作:濱田浩輔)は、高校のバドミントン部を舞台に、主人公「羽咲綾乃」や主将「荒垣なぎさ」の成長を描いた作品です。
初期の頃はどちらかというとスポーツ要素は抑えめで、女性キャラのかわいらしさが前面に出たコメディ風の作品でした。しかし、4巻以降は一転して心理描写や臨場感を重視した本格的なスポーツものへと変化し、絵柄もラブコメ調の柔らかいタッチからリアル寄りの画風へと大きく変わりました。
濱田先生は「コミックナタリー」のインタビューで、当初は本格的なストーリーを描く自信がなく、かわいい女性キャラを描くことで作品を成立させようとしていたと語っています。しかし、自身が面白いと思うものを素直に描いてみようと思うようになり、作風が大きく変化しました。
この路線変更によって発行部数は増加し、2018年にはアニメ化もされています。結果的に、この決断は大きな成功を収めたといえるでしょう。
●『2.5次元の誘惑(リリサ)』
「少年ジャンプ+」(集英社)で連載されている橋本悠先生の『2.5次元の誘惑』は、「次にくるマンガ大賞2020 Webマンガ部門4位」に選ばれ、2024年にはアニメが放送された人気作品です。二次元キャラクター「リリエル」を愛する「奥村正宗」と、リリエルになりたい「天乃リリサ」が出会い、コスプレの世界に足を踏み入れていきます。
今でこそ好きなものへの情熱や友情などを描いたアツい作品として知られていますが、橋本先生は「週プレNEWS」のインタビューで、当初はお色気描写を中心に1話完結型の話を描こうと編集者と話し合って始めたことを語っています。しかし、担当編集の言葉や橋本先生の「(リリサで)熱い少年マンガを描いてみたい」という先生自身の気持ちの変化により、リリサが奥村に支えられて初めてコスプレイベントに挑むエピソードが描かれたそうです。
この話が読者から好評だったため、次第に作風が変わっていき、今のような熱血作品へと変貌しています。橋本先生もこの変化がなければアニメ化はなかっただろうと語っており、路線変更がさらに人気に火を付けました。
●『家庭教師ヒットマンREBORN!』
天野明先生による『家庭教師ヒットマンREBORN!』は、冴えない主人公「沢田綱吉(通称:ツナ)」がヒットマンで赤ん坊の家庭教師「リボーン」と出会い、イタリアンマフィア「ボンゴレファミリー」のボスへと成長していく物語です。2004年から2012年にかけて「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、2006年から2010年にかけてアニメが放送されました。
連載当初は1話完結型のギャグマンガとしてスタートしましたが、62話(標的62)からツナを狙う「六道骸」と戦う「黒曜編」が始まり、作品の方向性が大きく変わります。以降は激しいバトル要素が盛り込まれ、話も1話完結型からアツい展開が繰り広げられるストーリー形式へと変化しました。また、この変化で当時の小中学生の心をくすぐるような新しい武器や必殺技も登場し、幅広い層のファンを獲得しています。
結果として、連載は全409話と長期化し人気作として完結しました。バトル路線へのシフトチェンジが、作品の成功に大きく寄与したといえるでしょう。
(LUIS FIELD)



