2次元よりスタイルいいんだけど　実写化の「敵役」キャラがハマりすぎていた女優

個性的な敵キャラを演じきった女優たち

　人気マンガが実写化される際、ファンが心配する点のひとつがキャラの再現度です。特に敵役は個性的なキャラが多く、演じるのが難しい役どころといえるでしょう。しかしなかには、高い完成度で敵役を演じ、原作ファンから絶賛された女優たちもいました。

　敵役で絶賛された女優といえば、実写化成功作品としてたびたび名前が挙がる『銀魂』（原作：空知英秋）で、菜々緒さんが演じた「来島また子」役は欠かせません。本作は架空の江戸時代を舞台に、なんでも屋の「万事屋」を営む「坂田銀時（演：小栗旬）」たちが、ドタバタな日常から人情噺まで、さまざまな出来事を繰り広げる物語です。2017年と2018年には、実写映画が公開されました。

　また子は、幕府転覆を目論んで銀時らと対立する「鬼兵隊」のひとりで、隊のトップ「高杉晋助（演：堂本剛）」を心から慕っています。語尾に「～ッス」とつける口癖があり、菜々緒さんは当初、馴染みのない話し方に発音への不安を覚えていたそうです。しかし芝居を重ねるうちに自然と身につき、次第に口癖として定着していったといいます。

　ビジュアル面でも、菜々緒さんはまた子のおなじみのヘソ出しの和服を持ち前のスタイルの良さで見事に着こなしました。公開時には「心なしかアニメの口調に寄せている気がするし、スタイルもまんまだった」「菜々緒さんじゃなきゃあの衣装着こなせなかっただろうなァ、と観る度に思う」「スタイル面では原作超えてる」といった声があがり、再現度の高さが話題となりました。

　また、敵味方が激しく入り乱れるため完全な敵役とは言えませんが、明治末期の北海道を舞台に隠された金塊の争奪戦を繰り広げる実写版「ゴールデンカムイ」シリーズ（原作：野田サトル）の「家永カノ」も、衝撃的再現度が話題になっています。本作は2024年に実写映画第1作が公開され、同年にWOWOWで続編となるドラマが放送されました。家永はドラマ第4話から登場するキャラで、桜井ユキさんが演じています。

　家永は、金塊の暗号となる刺青を彫られた囚人のひとりで、美しい女性の姿をしていますが、もともとは老人の男性です。「同物同治（体の不調な部分を治すには食材となる動物の同じ部位を食べるのがいい）」の考えのもと、殺した相手の一部を食べて美しい外見となり、作中ではホテルの若女将として登場しました。ヒロイン「アシリパ（演：山田杏奈）」の青い目を狙い、舐めようとする場面も衝撃的です。

　外見と中身が異なる難しい役柄ですが、桜井さんは家永の二面性を見事に演じ分けており、「妖艶なサイコパスで原作から飛び出してきたみたい」「美しく可憐ながら表情や角度によっては凛々しく、実は男性という設定にも説得力があった」と、ビジュアルや演技力が絶賛されています。口元のほぼ同じ位置に自前のホクロがある点も含め、桜井さん以外では考えられないようなはまり役となりました。

　また、ドラマや映画が制作された実写版「賭ケグルイ」シリーズ（原作：河本ほむら／作画：尚村透）で、池田エライザさんが演じた「桃喰綺羅莉」役も外せません。本作は、ギャンブルによる独自の階級制度が敷かれた「私立百花王学園」を舞台に、過酷なギャンブルに挑む高校生たちの戦いを描いた作品です。

　綺羅莉は、学園の頂点に立つ生徒会会長で、強いカリスマ性を放つ謎多き人物です。端正な顔立ちに、三つ編みにした銀髪を輪っか状に結いた独特な髪型が特徴で、その圧倒的な存在感と現実離れしたビジュアルから、実写化のハードルは高いのではないかとファンの間でささやかれていました。

　しかし、池田さんが演じる綺羅莉は、独特なビジュアルでありながらコスプレ感がなく、「強者」としての雰囲気もひしひしと伝わってきます。原作ファンからも「銀髪と圧倒的なカリスマ力が必要な難役なのに、桃喰綺羅莉その人にしか見えない」「一番ゾクリとしたのは仮面を取るシーン。無表情ながらも迫力のある声の質と目力があって、ミステリアスな感じが魅力的だった」と高く評価する声が相次ぎました。

※アシリパの「リ」は小文字が正しい表記