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実際はもっと犠牲者多かった? 『ばけばけ』ネット震えた「人形の墓」は本当にある風習だった 女中から聞いた話は

連続テレビ小説『ばけばけ』では、吉野イセが語った「人形の墓」の話が反響を呼んでいます。

女中から実際に聞いた話

『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)

 2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』の第21週104話では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」がつれてきた女性「吉野イセ(演:芋生悠)」が、「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」たちに自身が経験した、言い伝えにまつわる恐ろしく悲しい話をします。その後、トキはイセが背負っている「呪い」を引き受ける優しさを見せました。

 イセが語った「人形の墓」の話は、ヘブンのモデル・小泉八雲(ラフ化ディオ・ハーン)の1897年9月出版の著作『仏の畑の落穂』に同題の短編として載っています。短編では幼い少女「イネ」が両親の死後に人形の墓を作らなかったことで起きた悲劇を語った後、ハーン本人が彼女のいた畳を叩かずに座り、その悲しみ(呪い)を引き受けるというラストでした。

 元の「人形の墓」ではイネは11歳ほどの少女で、イセのように人形の墓を作らなかったことで自分も大病になったり、借金を背負ったりはしていません。また、イネの家族には兄だけでなく、祖母と幼い妹もおり、祖母はイネの両親と兄が亡くなった同じ年の冬にこの世を去り、妹は別の家に引き取られたことが書かれています。

『ばけばけ』104話放送後、Xでは「人形の墓」がトレンド入りし、「本当にある言い伝えなのかな」「背景に伝染病の対策とか関係ありそう」とさまざまな声が相次いでいました。

「人形の墓」のイネの話は、ハーンが熊本で雇い入れたお梅という身寄りのない女中が語った身の上話が元ネタと言われています。トキのモデルである妻の小泉セツも、一緒にその話を聞いたそうです。

 熊本出身のお梅の話がどこまで短編の内容通りかは分かりませんが、「人形の墓」と同じ風習は実際に熊本にあったと言われています。著名な民俗学者・柳田國男の1937年の著書『葬送習俗語彙』(1937年発表)には、日本各地の葬儀・埋葬などにまつわる話が載っており、「墓地の種類」という項には熊本地方の墓にまつわる儀式について語られていました。

『葬送習俗語彙』には、熊本の黒川村(現在の熊本県阿蘇市の一部)では「一家に二人つづけて死人があると、三人つづかぬやうに人形を作って葬式する風があるといふ」と書かれています。また、こちらも現・阿蘇市の一部である宮地町では、同様の場合に「スラバカ(空墓が訛ったものと思われる)」という疑似の墓を作っていたそうです。

 お梅やその家族はこの風習を守らず、その後に悲劇に見舞われたのかもしれません。ちなみにお梅本人は、ハーンたちが神戸、東京に移住してからもずっと女中としてついていき、働き始めて8年目となる1899年に熊本へ帰って結婚したそうです。

※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」

参考書籍:『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』(中央公論新社)、『八雲の妻 小泉セツの生涯』(潮出版社)、『仏の畑の落穂』(恒文社)、『葬送習俗語彙』(民間伝承の会)

(マグミクス編集部)

【画像】え…っ! 「そうなんだ」「知ってる」 コチラが「人形の墓」の風習があったと言われる地域です

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