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「ガンダム」の美しき裏切り者 彼女たちが許される/許されない境界はどこにある?

「ガンダム」シリーズには、敵にも味方にもなりきれないまま散っていった女性キャラクターが見られます。許される者もいれば、いまだ定まらない者もいて、それぞれに語り継がれてきました。その評価の分かれ目を考えます。

裏切りが「許される」かどうかを分けるもの

「GGG 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY シーマ・ガラハウ」(メガハウス) (C)創通・サンライズ
「GGG 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY シーマ・ガラハウ」(メガハウス) (C)創通・サンライズ

「ガンダム」シリーズには、所属組織を離れて対立する側に移るキャラクターが時折、描かれます。ただ同じ「裏切り」でも、ファンからの評価はキャラクターによって大きく異なるといえるでしょう。この差は、どこから来るのでしょうか。

『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』(1990年)の「シーマ・ガラハウ」は、元ジオン軍の士官で、ジオン残党組織「デラーズ・フリート」に参加しながら地球連邦軍と裏で内通し、終盤には自身の手で「エギーユ・デラーズ」を亡き者にするという行動に出た人物です。

 作品公開当初は否定的な目を向けられることも多かったものの、後から明かされた経歴が広まるにつれ、ファンの評価は大きく変わっていきます。ジオンから理不尽な扱いを押しつけられ、行き場を失うまでに追い詰められた末の行動だったとわかったとき、「そりゃ寝返るよ」という見方が生まれました。「なぜそうしたのか」が腑に落ちたことで、ファンに受け入れられていった好例といえそうです。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(2022年)の「ニカ・ナナウラ」も、仲間を裏切ったキャラクターでした。ただ、直接的な加害はなく、すべてが露見したのちも夢をあきらめずに能動的なやり直しを選んだ姿が、ファンに好意的に受け取られているようです。シーマが「なぜそうしたのか」で評価が変わったとすれば、ニカは「その後どう動いたか」で評価されたケースといえるでしょう。

 では「レコア・ロンド」はどうでしょうか。『機動戦士Zガンダム』(1985年)で主人公サイドの「エゥーゴ」から敵対組織「ティターンズ」に移籍した彼女は、最期の戦闘でかつての仲間に「男たちは戦いばかりで、女を道具に使うことしか思いつかない」(TV版)と言い残して散ります。置かれた境遇の苦しさや、行動の背景にある深い傷については、これまで幾度となく語られてきました。それでもなおレコアへの評価は、ファンのあいだでいまも割れているようです。

 シーマとの違いを考えると、ひとつの見方が浮かびます。シーマは「組織に搾取された末の行動」として経歴が読み解けたとき、「なぜそうしたか」がそのままファンの共感につながりました。対してレコアの場合、最期の言葉ひとつとっても、切実な訴えとして受け取るファンがいる一方、自らの行動の責任から目を逸らした言葉として受け取るファンも少なくないようです。背景の苦しさへの理解が、そのままキャラクターへの共感にはつながらない――レコアとはそういうキャラクターなのかもしれません。

(マグミクス編集部 ガンダム担当)

【画像14枚】ここが分水嶺? レコアの印象的なシーン&許されたニカ姉かわいいです

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マグミクス編集部 ガンダム担当

「ファーストこそ至高」という実父の薫陶を幼少期より受け育つ。夢は物欲のままに立体化された商品をポチること。宇宙世紀作品を中心に、90年代、00年代、最新作まで幅広くカバーします。

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