【金ロー】『エヴァ新劇場版』3週連続放送。押さえておきたい「ATフィールド」の意味は?
大ヒット作『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版』が3週連続でTV放映されます。難解と思われがちなストーリーですが、「ATフィールド」というキーワードを理解しておくと、『エヴァ』は意外とシンプルな物語であることが分かります。現代人を悩ませる「心の壁」と、「ATフィールド」との関係性を探ります。
何度も見た人もそうでない人も…「エヴァ」神話のプロローグ

あまりにも衝撃的だったTVシリーズの最終回が放映された1996年3月から、足掛け25年。庵野秀明監督の最新作にしてシリーズ完結編となる『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、2021年1月23日の公開予定が延期となりましたが、「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)では3週連続でこれまで公開された『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版』がオンエアされます。
1月15日(金)に放映されるのは、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007年)。14歳になる中学生・碇シンジは、汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機に乗り、人類を襲う謎の敵・使徒と戦うことになります。まだ見たことがない人だけでなく、TVシリーズや旧劇場版を見ている人もおさらいしておきたい、エヴァ神話のプロローグとなる物語です。
難解と思われがちな『エヴァ』の世界ですが、重要なキーワードとなる「ATフィールド」を押さえておくと、意外とシンプルな物語であることが分かります。「ATフィールド」の正体について探ります。
エヴァとシンクロするシンジの心の葛藤
ATフィールドとは、『エヴァ』の世界に登場する架空のバリアの名称です。シンジ(CV:緒方恵美)たちが暮らす第三新東京市をたびたび襲う使徒、そして使徒と戦うエヴァンゲリオンのみが使うことができるものです。正式名称は「Absolute Terror FIELD(絶対恐怖領域)」。人類が持つ通常兵器では歯が立たない、とんでもない硬度を誇っています。
父・碇ゲンドウ(CV:立木文彦)が開発したエヴァンゲリオン初号機に嫌々ながら乗り込んだシンジは、恐ろしい使徒との過酷な戦いを強いられます。また戦いの合間には、シンジの日常生活が描かれます。繊細な心を持つシンジは、自分の心が傷つくことを何よりも恐れています。
他者との衝突を避けようと、父・ゲンドウや特務機関「ネルフ」に所属することになるシンジの上官・葛城ミサト(CV:三石琴乃)の指示に素直に従います。そこにはシンジ自身の意思はありません。言ってみれば、シンジは自分の心を閉ざし、いつもATフィールドを張った状態で日々を過ごしています。
エヴァと使徒との命懸けの戦いが繰り広げられる一方、シンジと周囲の大人たちや転校先のクラスメイトとの間にも軋轢が生じます。未知なる敵から人類を守るための大規模な戦闘と思春期の少年の心の葛藤がシンクロするように、物語が展開されていきます。
エヴァがATフィールドを張るだけでは使徒には勝てないように、シンジも心を閉ざすだけでは日々の生活を乗り切ることはできません。シンジが自分で築いた「心の壁」を、戦場と日常生活を行き来するなかでどう乗り越えていくのかを描いたのが、『エヴァ』の基本的なストーリーとなっています。自分が傷つくのも、誰かを傷つけるのも嫌。でも心を閉ざしたままでは、何も始まらない。『エヴァ』が内包する、そんな普遍的なテーマに共感を覚えた人は少なくないようです。