3月25日に最終回迎えた『ボルテス』と『ザンボット』。テーマも共通だが異なる結末に…
差別に打ち勝った『ボルテスV』

差別に対する問題は、『ボルテスV』でもメインテーマのひとつとして取り上げられています。地球に攻め込んできたボアザン星人は、生まれながらに角があれば貴族、無ければ労奴として扱われるという厳しい身分制度が敷かれており、仮に労奴の子供に角があっても差別対象であることは変わりません。
主人公・剛健一と弟の大次郎、日吉の3人の父親である剛健太郎は、実はラ・ゴールという名のボアザン星人であり、前皇帝の弟が父親という高貴な身分として生まれながらも、角がなかったために人工の角をつけることとなり、皇位継承権を争うなかで秘密を暴露され労奴に落とされた過去の持ち主です。そのとき離縁させられてしまった身重の妻が産んだのが、後のプリンス・ハイネルです。
当時の筆者の幼心にも、ラ・ゴールが生まれてから突然労奴に堕とされるまでの一連のシーンは強く印象に残っています。特にラ・ゴールの誕生を喜んでいた父親が、角が無いことに激怒して殺そうとするシーンは、ボアザン星の身分制度がどれほど苛烈なものなのかを非常にわかりやすく示した名シーンであると思えます。
ラ・ゴールはその後反乱を起こすも失敗、地球に逃げ出して結婚し、3人の息子をもうけます。そして謀反人の子として辛い思いをしていたハイネルは地球征服軍司令官に着任し、ボルテスVとの死闘へと突入するのです。戦っている相手が弟たちだとは知らずに。
『ボルテスV』は最後に、ボルテスチームのボアザン星への突入と労奴解放運動の成功により、貴族制度は崩壊します。
差別を克服しきれなかった『ザンボット3』。
差別と戦い抜いた『ボルテスV』。
実は『ボルテスV』の前半では、富野監督は「とみの喜幸」名義で演出として辣腕を振るっており、両作品に大きな影響を与えています。富野監督と長浜監督、同じ時代を生きた異なる個性によって同時期に世に送り出された作品たちが、共に差別を正面から取り扱い、まったく異なるラストを迎えたことは、おそらく偶然ではないのでしょう。
(早川清一朗)