3月25日に最終回迎えた『ボルテス』と『ザンボット』。テーマも共通だが異なる結末に…
3月25日は、1970年代を代表する2本のロボットアニメ、富野喜幸(現:由悠季)監督の『無敵超人ザンボット3』と、長浜忠夫監督の『超電磁マシーン ボルテスV』がともに最終回を迎えた日です。「パイロットが家族で構成されている」という共通点を持つ両作品でしたが、結末は大きく異なるものでした。
両作品とも根底には「差別問題」が
43年前の1978年3月25日、『無敵超人ザンボット3』と、『超電磁マシーン ボルテスV』という2本のロボットアニメがともに最終回を迎えました。筆者が住んでいた地域では『ボルテスV』はロボットアニメのヘビーローテーション枠に入っており、『機動戦士ガンダム』『超電磁ロボ コン・バトラーV』『ボルテスⅤ』の3作品が終わっては始まり、終わっては始まりを繰り返していました。
しかし『ザンボット3』を見る機会はなく、当時は配信はおろかビデオもなかったため、小さいころに見たという友人から「人間爆弾っていうのがあって、怖くて今でも忘れられないんだよ」と聞かされ「何それ……」とドン引きした思い出しかな無かったのです。
そんな状況を変化させたのが、『第4次スーパーロボット大戦』でした。この作品には『ザンボット3』も参戦したため、人間爆弾のエピソードも収録されており、回避することも可能ではありますが、分岐次第では確実にアキが爆死してしまうのが精神的にかなりきつかったことを覚えています。
その後しばらくして『ザンボット3』のLD-BOXが発売されたのでようやく本編を観ることができたのですが、「富野監督、これ、本当に子供に向けて……作ったの?」と、絶句するほどの凄惨な描写の連続で、最後まで観るのが本当に苦しい作品だったのです。
特に厳しいと感じたのが、それまでごく普通に暮らしていた主人公たち神ファミリーが、異星人の子孫であることが明らかになり、地球人から厳しい迫害を受けるシーンでした。「お前たちが地球に来たからガイゾックも来てしまったんだ」と石を投げられ、罵られながらも歯を食いしばり、地球のために戦い続ける神ファミリーたちの姿は、忘れようがありません。
それでも、最後は誤解も解けて地球人と神ファミリーは手を取り合ってガイゾックと戦い、多くの犠牲を払いながらもかろうじて勝利とも呼べない勝利をつかみ取りました。ラストシーンでは生き残った勝平のもとに地球人たちが駈け寄るという希望が見える終わりを迎えましたが、このシーンにはもうひとつ、別の意味が隠されていたのです。
富野監督が執筆した小説版『ザンボット3』(未発表)では、最後駆け寄ってきた民衆は、宇宙人の最後の生き残り、すなわち勝平を始末しに来たことが暗示されているそうです。命がけで戦い大切な家族を失った勝平に対しても差別感情は消え失せることはなかった。人の業を描き続けてきた富野監督らしいと言えばらしいのですが、あまりにも悲惨極まりないラストではないでしょうか。