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「初期ドラクエ作品」は、今から見れば不便だらけ…でも没入できる魅力があった

サマルトリアの王子には荷が重かった「ザオリク」

『ドラゴンクエストIII』では、「ザオリク」の下位にあたる「ザオラル」も登場した。画像は『ドラゴンクエストIII』スマートフォン版(スクウェア・エニックス)
『ドラゴンクエストIII』では、「ザオリク」の下位にあたる「ザオラル」も登場した。画像は『ドラゴンクエストIII』スマートフォン版(スクウェア・エニックス)

●かゆい所に手が届かない「ザオリク」

 蘇生呪文『ザオリク』は、戦闘で倒れた味方をすぐさま生き返らせ、しかもHPも完全回復(『Ⅸ』以降は回復量の仕様変更)してくれるという、冒険には欠かせない呪文です。

 しかし、この呪文が最初に登場した頃は、使い勝手の悪いものでした。『II』でサマルトリアの王子が覚える「ザオリク」は、一番使いたい戦闘中に唱えることができず、フィールド画面でしか使用できません。しかも復活直後のHPは1で、すぐさま回復させなければなりません。また、ザオリクを覚えるサマルトリアの王子自身が、戦闘で死んでしまうことが多く、ちと荷が重い感があります。

●「はなす」「しらべる」をいちいちコマンドで指示

 昨今のゲームでは、町のモブキャラに話しかけたり、宝箱を開けたり、鍵のかかった扉を開ける際、コントローラーのひとつのボタンで全てが片づいてしまいます。……当たり前すぎて何を書いているか分からないと思いますが、『I』はそれらをいちいちコマンドで指示する必要がありました。

 フィールド上でAボタンを押すと「コマンド」が表示され、「はなす」「しらべる」「とる」など8つの項目から行動を指示します。例えば、宝箱を発見して接触するだけでは開けることができません。箱に乗っかりコマンド「とる」を指示して初めて開けることができます。「はなす」の場合、さらにウインドウが開いて「きた」「ひがし」など方角が表示され、話しかける方向を入力しなければいけませんでした。

●情報量の少なさゆえの無理ゲー。それでものめり込んだ

 現在は攻略サイトやSNSなどを情報源にできるのが当たり前の時代。しかし『I』が発売された1986年頃は当然そんな便利なものはなく、もっぱら友達との情報交換か、「ファミ通」や「ファミマガ」などの雑誌で攻略情報を入手するしかありませんでした。しかも、ゲームクリアに必要な重要アイテムの入手法や行動など全てが雑誌に掲載されるわけではないので、ゲーム内で示されるヒントを取りこぼしたり、そもそもノーヒントだったりした場合、少年少女の頭脳で突破するのは困難でした。

 具体的な例を挙げると、『I』の「たいようのいし」のありか。「城にある」というヒントは出ていたと思いますが……あんなところ分かるか! 

『II』では、ドラクエ史上最凶ダンジョンと名高い「ロンダルキアの洞窟」と、その入口を出現させる“じゃしんのぞう”の使い方。この“じゃしんのぞう”は後にハーゴンの神殿でも使いますが、これも「発見するの無理だろ……」と、ため息がもれました。

 ただ、不便ななかで自分なりの創意工夫をするプレイヤーも現れます。『I』のラストダンジョンを、たいまつやレミーラを使わず、主人公が壁に当たる音だけを頼りに攻略する猛者もいました。

 不便の多かった初期のドラクエ作品ですが、それでも時間を忘れて熱中できる魅力にあふれていました。また、「ふっかつのじゅもん」はその後、おまけ要素として新作タイトルにも使われることがありました。ドラクエシリーズの“古き良き不便”は、大人になったプレイヤーたちの心をくすぐる、大事な思い出になっているのではないでしょうか。

(南城与右衛門)

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