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妄想が止まらない?『チェンソーマン』作中で、あるはずなのに存在しないもの

『チェンソーマン』は突飛な能力を持つ悪魔や魔人、ストーリー展開が多く、連載中は多くの読者が考察を重ねていました。そのなかでも、単行本10巻でマキマさんが明かしたチェンソーマンのある秘密が、作中に出てこないものや、展開上の表現に対する疑問を加速させています。

コウモリの悪魔、アキの弟、デンジの妄想…が意味するものとは?

チェンソーマンの恐るべき能力が明かされる、『チェンソーマン』第10巻(集英社)
チェンソーマンの恐るべき能力が明かされる、『チェンソーマン』第10巻(集英社)

 すでに発表されているアニメ化の続報に期待が集まっている『チェンソーマン』は、2021年3月発売の単行本11巻で第1部が完結しました。冒頭からさまざまな伏線や設定が散りばめられた同作ですが、単行本10巻に至って、主人公・デンジが所属する公安退魔特異4課のリーダー・マキマさんによって、チェンソーマンの恐るべき能力が明かされました。

※本記事は、原作ストーリーの核心に関わる内容を含みますのでご注意下さい。

 その能力とは、「チェンソーマンが食べた悪魔は、その名前の存在がこの世から消えてしまう」というもの。この発言が、作中で登場しない「あるもの」の存在が消えたことを示唆するとして、読者をざわつかせたのです。

●『チェンソーマン』の世界には太陽が存在しない?

「貴方はナチスがユダヤ人に何をしたのか覚えていますか?」このマキマさんのセリフに、デンジやパワーを鍛え上げた熟練のデビルハンター・岸辺は「ナチス…?」と返します。

 そしてマキマさんは、第二次世界大戦やエイズなどのほかに、「アーノロン症候群」「租唖」「比尾山大噴火」と、存在しないはずの大災害や病気を口にします。(当然ながら)読者も、それらの存在は知りません。岸辺と一緒の思いを共有できる一連のシーンは、日本のホラー映画を彷彿とさせるような背筋の寒さを覚えました。

 この数ページは、読者に「『チェンソーマン』の世界には、他にも消えた存在があるんじゃないか」という疑問を抱かせました。この考察という名の妄想で生まれたのが、「チェンソーマンは太陽の存在を消したのでは?」という発想です。こう思わせたのには、さまざまな要因があります。

●昼間でも元気に活動するコウモリの悪魔と、彼女のヒルの悪魔

 物語序盤で、デンジとパワーを追い詰めたコウモリの悪魔。新鮮な血を求め、彼は昼間の世界を飛び出します。コウモリ=夜に動き回るものという一般的なイメージからかけ離れています。しかも、彼の彼女としてデンジの前に現れたのは、ヒルの悪魔。ヒル=昼と仲睦まじいコウモリという、あまり結びつかない関係性が描かれました。

●さまざまなシーンで消される「日」の漢字

 単行本第1巻にて、銃の悪魔の壮絶な被害を語るマキマさん。そこで登場する当時のカレンダーは、月曜日はじまりです。通常、多くのカレンダーは日曜日はじまりで、「意図的に日曜日(太陽のイメージ)が隠されている?」と勘ぐる読者が続出しました。

 さらに、第2巻冒頭でのコウモリの悪魔との戦闘中で、悪魔とデンジが飛び込んだビルの看板「目立クーラー」。「日」立クーラーの名前を変えた表現に、妄想がさらに膨らんでいきます。

●アキの弟=タイヨウの死

 デンジのバディ(相棒)となった早川アキは、銃の悪魔に家族の命を奪われました。彼の弟の名前はタイヨウで、もともと身体が弱いことが描写されています。身体が弱く、後に亡くなってしまう「タイヨウ」。それが、太陽の死を示唆するストーリーとされました。

●季節感のない日本は、地軸が喪失したから?

 単行本9巻にて、銃の悪魔が日本に出現しました。デンジは常にYシャツ1枚かTシャツを着ているので、作中は春から夏あたりの物語だと推察できます。しかし、アキやデンジ、パワーが家族のお墓参りに北海道へ行ったとき、お墓にはどっさりと雪が積もっていました。

 季節というのは、地球が太陽に対して一定の方向に傾いて公転していることで生まれます。その季節感がむちゃくちゃというところも、太陽が存在しない理由になる……ということなのでしょうか?

●デンジの回想シーンに「地球」しか出てこない

 銃の悪魔を倒したデンジはマキマさんに自宅へ招かれ、「私に叶えて欲しい事を言ってみて」と口にします。犬に囲まれながら、思いを巡らせるデンジ。その彼の背景には大小さまざまな惑星が描かれますが、そのすべてが地球に見えます。それを目にして、「実はこの物語には、太陽どころか他の惑星も消えてしまっているのかも?」と考えてしまいます。

……と、ここまでいろいろと考えてみましたが、もちろん妄想の域を出ていません。作中では朝焼けのような表現もあれば、闇の悪魔との戦いで、デンジが「日曜日にきてくれ」と話すシーンも。地球しかなかったのだって、義務教育を受けていないデンジだからこその表現かもしれません。

 穴だらけの妄想で「そんなバカな」と一蹴したくなりつつも、考え出すとどんどん止まらない。そうやって想像を巡らせたくなるこの思いが、そのまま『チェンソーマン』の魅力を表しているのかもしれませんね。

(サトートモロー)

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