タイトルと時系列で振り返る『ドラゴンボール』の歴史。パラレルワールドの概念も…?
『改』をきっかけに新たなファン層を獲得し『超』が誕生

『GT』放送終了後も、ゲームにカードなどのグッズやアイテムが販売され、『ドラゴンボール』の認知度と人気はそれほど色あせないでいました。
そんな時、2008年秋に開催された「ジャンプスーパーアニメツアー08」で現役ジャンプ作品に交じって、『ドラゴンボール オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』というオリジナルストーリーによるアニメ新作が発表されます。この作品がきっかけで、TVアニメでも大きな動きが起きました。それが『ドラゴンボール改』です。
『改』は、第1期のサイヤ人襲来から人造人間セル編までを2009年4月5日~2011年3月27日に放送。第2期の魔人ブウ編が2014年4月6日~2015年6月28日まで放送されて合わせて全159話が制作されました。
『改』は『Z』のデジタルリマスター再編集版で、デジタルに対応した作品です。しかし、ただの編集版でなく、『Z』で多くあったアニメオリジナル展開をできるだけカットして原作マンガに展開を近づけ、一部の映像の修正や録音を新たにするなどの変更がなされました。
そして、この作品が新たなファン層を開拓します。このTV放送をきっかけとして、『Z』当時まだ生まれていなかった低年齢層から爆発的な支持を得ました。
その人気により、劇場で『ドラゴンボールZ 神と神』(2013年)と『ドラゴンボールZ 復活の「F」』(2015年)という、新キャラも登場する新作も公開され、ブームに拍車をかけることになりました。
これにより、TVでも『ドラゴンボール超(スーパー)』という完全新作が2015年7月5日~2018年3月25日に放送。全131話が制作されます。
この『超』の時代は一部『Z』と重なりますが、魔人ブウが倒されて平和が戻った後から、ベジータとブルマの娘ブラが生まれるまでの6年間。マンガと『Z』では描かれていない時代の話です。
そういうわけで、『超』は先に作られた『GT』より前の時代になるのですが、いくつかつじつまの合わない部分がありました。例えば、キビトと合体した界王神が元に戻っている、死んでいたフリーザーが生き返っている……などです。もっとも、今後の展開でつじつまが合うかもしれません。
これに関しては『超』と『GT』は別の時間線にあるから……と解釈するファンも多いようです。
思えば、人造人間編でトランクスが未来からやって来たことで時間線が異なるというパラレルワールドの概念が入った『ドラゴンボール』の世界。もともと劇場版の流れをマンガ原作やTVの時間軸に合わせられないという矛盾がありましたから、つじつまを合わせるなんて野暮は言わないで、純粋に作品を楽しめばいいのかもしれませんね。
(加々美利治)