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3Pシュートの必殺技を持つ『黒バス』のシューター3選。ロングショットを魅力的に描く

「プッツンメガネ」と「夜叉」の名を持つ3Pシューター

 主人公サイドにも3Pシューターはいます。それが誠凛高校バスケ部主将である日向順平。普段は温厚ですが、スイッチが入ると毒舌家に豹変します。しかし、一度このスイッチが入ると集中力が増し、シュートの成功率が格段に上がるという面がありました。

 それは主将としてチームを引っ張るという目的のため、練習中にシュートを外した数だけお気に入りの戦国武将のフィギュアを壊すという特訓で、性格がゆがんだせいだと言われています。ちなみにこの特訓を提案したのがカントクの相田リコでした。

 そのリコの父親である相田景虎から、自分が「誠凛の生命線」という指摘を受け、そのトレーニングで身に着けた技が「不可侵のシュート(バリアジャンパー)」。シュートをするときに相手との距離をとってブロックをかわすフェイダウェイシュートです。ちなみに、その景虎が日向につけたあだ名が「プッツンメガネ」。

 その実力はキセキの世代や無冠の五将に劣るものではなく、劇場版では日本代表チームともいえる「VORPAL SWORDS」のメンバーのひとりとして選ばれていました。

 この日向がフォームの参考にしているほどの実力派3Pシューターが、実渕玲央です。キセキの世代には及ばぬものの天才と呼ばれるほどの実力を持つ「無冠の五将」のひとりで、その異名は「夜叉」。

 緑間や日向と違って3Pを外す場面もありますが、実渕の恐ろしさは3種類のシュートパターンにあります。フェイダウェイで放つ「天」、相手のファウルを誘ったうえで3Pを決め、さらにバスケットカウントのフリースローも決める4点シュートの「地」、ブロックに跳ぼうとする相手を硬直させて動けなくさせてから放つ「虚空」。これら3種を使い分けることで3Pシュートの成功率を上げています。

 特に相手がファウルしていないのにそう見せることのできる「地」は最悪で、この技で4ファウルをもらった日向がベンチに下げられたこともありました。しかし、もともと実渕のフォームを参考にしていた日向はこの技をマネして逆襲に転じています。

 バスケの華といえばやはりダンクシュートですが、もう一方で確実に3点を取りに行く3Pシュートも双璧というべき華ではないでしょうか?

 バスケマンガですと派手なダンクが注目されがちですが、『黒バス』ではたびたび3Pシュートのスゴさを強調したシーンがあって、そこが印象に残っています。だから今回の東京オリンピックでの女子バスケチームの躍進のカギが3Pシュートにあったと聞いた時、筆者は思わずこの作品のことを思い出したのでした。

(加々美利治)

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