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有名マンガの連載前に載った「予告」が変…? 「驚異の二重人格者」って誰…

今となっては説明不要な大人気マンガでも、連載が始まる前はいろんな経緯があったのか、のちに始まる本編の内容とはかなり違う絵や説明文が「予告」として載ることがありました。今回はそのなかでも、超人気マンガで掲載されてしまった「珍予告」を紹介します。

ドラえもんがどこにもいない……?

連載前予告ではゼブラ柄のようなマスクだった『タイガーマスク』第1巻(講談社)
連載前予告ではゼブラ柄のようなマスクだった『タイガーマスク』第1巻(講談社)

 国民的大ヒットとなった人気マンガでも、最初から順風満帆ということはなかなかありません。設定が固まっていなかったり、当初は人気が出なかったり……。特に連載前は作者もマンガ雑誌の編集部もバタバタ状態で、実際の連載内容とはかなり違った開始予告が掲載されてしまうこともありました。今回は、誰もが知る有名マンガの連載前に掲載された「珍予告」を4つ紹介します。

●タイガーマスクのマスクが全然違う?

 正義の覆面レスラーが孤児院の子供たちのために戦う名作マンガ『タイガーマスク』は、月刊誌「ぼくら」1968年1月号で連載が始まります。『巨人の星』『あしたのジョー』の梶原一騎先生が原作、『0戦はやと』の辻なおき先生が作画と、当時すでに実績十分なコンビの新連載なので、ヒットを期待されていたことでしょう。

 しかし、前号の「ぼくら」1967年12月号に掲載された新連載予告では、主人公・伊達直人が被っているマスクに違和感が……。マンガ本編のリアルな虎模様のマスクとは異なり、縞の模様がタイガーというよりも「ゼブラ」に近いのです。

 しかも、ほとんど虎の顔をそのまま被っているような本編のマスクとは違い、このゼブラ柄マスクは目、鼻、口もしっかり出てしまっています。プロレスのリングで激しく戦う設定を考えるとこちらの方がリアルとも取れますが、どこかカッコよさが足りませんし、何より正体がバレる可能性が高いです。

 作画の辻なおき先生はこの12月号まで前作である『ばくはつ大将』を連載していたので、ギリギリまでタイガーマスクのデザインが固まっていなかったのかも知れません。

●ドラえもんの姿も名前もない……

 連載開始から50年以上を経ても、いまだ国民的大人気を誇る『ドラえもん』。その連載開始までの道のりは、今となっては考えられないくらいバタバタでした。原作者、藤子・F・不二雄先生の前作『ウメ星デンカ』の連載が終わった『小学四年生』1969年12月号に、『ドラえもん』の連載前予告ページ(と今では言われているもの)が載っているのですが、そこにはドラえもんの姿も、タイトルすらないのです。

 のび太らしきキャラは描かれていますが、そのほかは「正月号から新れんさい」「出た!」などの文字と、机の引き出しが開いて何かが飛び出している絵が掲載されているのみ。この予告は2019年発売の『ドラえもん』0巻にも収録されています。1978年に「コロコロデラックス」に掲載された制作秘話マンガ『ドラえもん誕生』にも描かれていますが、藤子先生は新連載開始直前まで何にもアイデアが生まれていなかったため、このような予告が掲載されたようです。

【画像】今見ると味わい深い……ドラえもん不在の『ドラえもん』連載前予告ページ

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