「セリフだけ有名」元ネタは超怖い!「勘のいいガキは嫌いだよ」「ギャグで言ってるのか!?」
使い勝手はいいけど、元ネタが恐ろしすぎる……

●「……君のような勘のいいガキは嫌いだよ」(『鋼の錬金術師』)
今回ご紹介するなかで、ネットでの使われ方と実際の作品での描写に最も温度差があるコマはこちらでしょう。生気を欠いたメガネの男が、憎々しげに呟く一コマはあまりにも有名です。こちら、ネットでは見事な考察をした人への賞賛として、はたまたあまり触れて欲しくないことに話題を振ってきた相手への牽制として用いられることが多くあります。その出典は、人気マンガ『鋼の錬金術師』(著:荒川弘)の第2巻。
生体錬成の研究者であるショウ・タッカーが生成した、人語を理解する合成獣(キメラ)をエルリック兄弟に紹介した際、昨日までいたはずのタッカーの娘と飼い犬の姿がありません。それをエドが指摘したとき、タッカーが放ったのがこのセリフ。平成の少年マンガ屈指のえぐさを誇るこちらのシーンとセリフが、今では作者の意図を離れひとり歩きしているのです。なんとなく、作品のテーマと似通う「業」を感じます。
●「そんなものはない」(『三国志』)
使い勝手のよさにおいて、他の追随を許さないのがこちらの一コマ。武将風の男がなんとも泰然自若と「そんなものはない」と言い切る、気持ちの良いワンシーンです。ネットでは、読んで字のごとくで誰かのささやかな願望に対し、残酷な現実を突きつける際などに重宝されています。
さて、こちらは『三国志』(著:横山光輝)の18巻の、関羽のセリフのコマです。いったい、関羽は何がなかったのでしょうか。このコマは、関羽が曹操のもとから、かつて忠義を尽くした劉備玄徳のもとへと馳せ参じるために関所を突破している際、最後の関所で通行手形を持っているのか尋ねられた際のもの。シンプルなセリフしか書かれていないので、使い道は無限と言えるでしょう。
今回紹介した以外にも『花の慶次-雲のかなたに-』の「だがそれがいい」や、『バキ』の烈海王が放った「わたしは一向にかまわんッッ」のセリフのコマも、よく見かけるコマとして有名です。今もなお、ネットではこれらのコマがひとり歩きしては、作品とまったく関係のないコミュニケーションを成立させています。セリフとしての汎用性だけでなく、『ハガレン』のタッカーのコマのように、絵力のインパクトもまた、使いやすい要因といえるでしょう。もちろん、どのマンガも名作なので、ぜひともご一読いただきたいです。
(片野)



