『エヴァ』のED曲「FLY ME TO THE MOON」 なぜ何パターンもあったのか? 様々なナゾを解く
人気TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』には、「月」のイメージが残りませんか? その象徴がED曲の「FLY ME TO THE MOON」かもしれません。なぜこの曲だったのか、なぜバージョンがいくつもあったのか、疑問を解き明かします。
庵野監督の好みが雰囲気にもマッチ
ジャズの名曲「FLY ME TO THE MOON」(私を月につれてって)を聴いて、「『エヴァ』のエンディング曲だ」と思い出す人も多いでしょう。人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』は1995年10月’96年3月、全26話放送され、その後何度も再放送されているので、馴染み深い曲かもしれません。ただ、『エヴァ』の「FLY ME TO THE MOON」は、ファンからいろんな疑問が飛び交う曲としても有名です。今回は同曲にまつわる「2大疑問」についてひも解いていきます。
●なぜ「FLY ME TO THE MOON」だったのか?
単純な疑問です。なぜ古いジャズナンバーのカバーをEDに起用したのか? 実は答えも単純で、「庵野秀明監督が好きだったから」です。……しかし、これだけだとつまらないので少し掘り下げます。
『エヴァンゲリオン』は企画段階から、「月」が特別なキーワードでした。キャラクターデザイン担当の貞本義行さんは、あるインタビューで「ラストに最後の使徒と月面で戦うシーンがあって、それで何年かしたら、その月の表面にメッセージが書かれているというような、そんなトップみたいなイメージかなぁとみんなで話していた」と言っています。それゆえ、庵野監督は作品全体のイメージと話の締めとして、自身がお気に入りの曲である「FLY ME TO THE MOON」をED曲に選んだそうです。また月と儚げな綾波レイのキャラが強くマッチしたことから、映像は月光を浴びながら水中で回転するレイの映像が作られたとされています。
余談ですがここで質問です。「ED映像の綾波レイは時計回りか反時計回りかどっちだったでしょう?」……正解は「どちらも」です。実は目の錯覚で見る人によって違います。時計回りに見える人は「直感型の右脳派」、反時計回りに見えると「理論型の左脳派」とされるそうです。