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なぜ『スプラトゥーン』は国民的人気ゲームになれた? ヒットの理由と『3』の注目点

初心者も魅了するゲームデザインで鷲掴み!

シオカラーズのふたり、アオリとホタル。シリーズを通して高い人気を誇る
シオカラーズのふたり、アオリとホタル。シリーズを通して高い人気を誇る

●「キル」が取れない初心者でも、勝利に貢献できる「ナワバリバトル」

 しかし、ちょっと遊んでもらっても、そこで飽きられたら大ヒットには到底繋がりません。継続してプレイしたくなる、他のゲームにはない魅力の存在が不可欠です。その点について最も強力な魅力となったのが、「ナワバリバトル」です。

 TPS・FPSの対戦ゲームの多くは、敵を倒すこと──「キル」が最も重要な要素でした。相手をどれだけ倒したか=キルを稼いだかで、勝敗が左右されます。多人数が戦い合うバトルロイヤル系だと、逃げて隠れる技術も重要ですが、最終的には生き残った者同士による直接対決が待ち受けています。

 相手を倒すには、当然テクニックが問われます。常に攻撃を避け続ける相手の動きを予測して弾を撃ち、こちらは攻撃を食らわないように回避する。その立ち回りは、もろに腕前の差が出るため、そこで躓いてしまうプレイヤーも少なからずいます。

 特にチーム戦の場合、「キル」が取れずにやられるばかりだと、味方の足を引っ張っている罪悪感に駆られがち。ほかの人から責められずとも、内から湧き上がる無力感に心が折れ、そのままゲームから去ることもしばしばあります。

 ですが、『スプラトゥーン』の「ナワバリバトル」は、自分たちが撃つ「インク」で染め上げた面積の広さで勝敗を決します。「キル」の数は直接関係せず、チームの陣地がより広い方が勝者となるのです。

 その過程で相手を倒した方が有利になるのは間違いありませんが、まだ「キル」が取れない初心者でも、地面や壁を塗ることで勝利に貢献できます。そのため、前述の「無力感」が湧き上がりにくく、プレイ意欲を急激に失うような事態を避けられるのです。

 いくらやられても、最終的には陣地の広さで勝敗が決まる「ナワバリバトル」。この要素を主軸に据えたことで、対戦型TPSゲームの楽しさをより多くの方が味わい、新たなユーザー層への訴求に成功。その結果『スプラトゥーン』が大ヒットし、このジャンル自体の盛り上がりにも貢献しました。

●『スプラトゥーン3』が提供するのは、かつてない新たなバトル

 こうした魅力を受け継いできた本シリーズは、9月9日発売の『スプラトゥーン3』でいよいよ3作目に突入します。本作からの新要素も多数用意されており、「ストリンガー」や「ワイパー」といった新ブキをはじめ、新アクションやパワーアップした「サーモンラン NEXT WAVE」など、枚挙に暇がないほどです。なかでも最も注目を浴びているのが、かつてないスタイルで戦う「トリカラバトル」です。

『スプラトゥーン』には代々、お題に合わせた陣営に分かれて戦う「フェス」と呼ばれる期間限定のイベントがあります。これまでは、「マヨネーズ」と「ケチャップ」のような2択で各陣営に分かれていましたが、『スプラトゥーン3』では3つの陣営に分かれます。ちなみに先日行われた前夜祭では、「いちばん強いのはどれ? グーvsパーvsチョキ」というお題が掲げられました。

『スプラトゥーン3』における「フェス」ですが、前半戦はこれまで通り、違う陣営同士による1対1のチームバトルを展開します。しかし後半戦になると、最も優勢な陣営が4人1組のチームで登場し、残りふたつの陣営がそれぞれふたり1組のチームで参戦。そこで、シリーズ初となる「3陣営が入り乱れるバトル」を繰り広げます。

 これまでは、味方以外は敵というシンプルな構図でしたが、「敵の敵は味方」という新たな関係性が生まれ、最も優勢なチームに対して残り2陣営が攻撃を仕掛けるといった形に。シリーズ初の「三つ巴の戦い」が、『スプラトゥーン』ファンたちに新たな刺激を与えることでしょう。

「ナワバリバトル」でプレイ層の間口を大きく広げ、世界的な大ヒットを遂げた『スプラトゥーン』。その魅力的な特徴をさらに掘り下げる「攻めの姿勢」こそが、シリーズ最大のブキなのかもしれません。

(臥待)

【画像】新ブキがイカす! 『スプラトゥーン3』の新要素をチェック(6枚)

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