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任天堂の新機能「バーチャルゲームカード」「キーカード」 そのメリット/デメリット

Nintendo SwitchおよびSwitch2において、「バーチャルゲームカード」「キーカード」なるものが導入されました。いずれもゲームソフトに関する新しい仕組みで、ちゃんと理解しておかないと、意外なところで意図しない事態におちいるかもしれません。

「バーチャルゲームカード」と「キーカード」が導入されたワケ

「バーチャルゲームカード」は最大3人にまで同時に貸し出すことが可能で、ひとりにつき1本、最長14日間までとなっている。YouTube Nintendo公式チャンネル「バーチャルゲームカード 紹介映像」より
「バーチャルゲームカード」は最大3人にまで同時に貸し出すことが可能で、ひとりにつき1本、最長14日間までとなっている。YouTube Nintendo公式チャンネル「バーチャルゲームカード 紹介映像」より

 任天堂はNintendo Switch 2を正式発表する前後に、ゲームデータの保存や運用に関する新たな仕組みとして「バーチャルゲームカード」と「キーカード」というふたつの概念を導入しました。いずれも新しい時代の到来を感じさせる取り組みですが、その内容が十分にユーザーに伝わっているとは言いがたい面もあります。

「バーチャルゲームカード」は、ダウンロードソフトを物理的なゲームカードのように扱える仕組みで、初代SwitchとSwitch 2の両方に対応しています。仮想的なカードを本体に「セット」したり「外す」といった操作により、ソフトの管理や使用がより柔軟になります。

 この仕組みによって可能になるのは、おもにふたつです。ひとつ目は、購入者本人が2台までの本体でソフトをスムーズに切り替えて遊べること。ふたつ目は、ファミリーグループ内でソフトを貸し出せることです。

 従来も「いつもあそぶ本体」機能を使えば複数台での利用は可能でしたが、「『いつもあそぶ本体』ではない本体」でプレイする際はインターネット接続が必須でした。バーチャルカードでは、オフラインでもプレイできる点では、利便性が大きく向上しています。

 ファミリー内の貸し出しでは、1本のソフトを最大14日間まで別アカウントに貸し出せます。期間終了後は自動的に返却されるのは便利そうですが、貸し出し中は、貸主はソフトを使用できません。また、貸し借りはローカル通信を使って本体同士を近づけて行う必要があるという、物理カードと近い制約があります。

 これらをザックリまとめると「1本のソフトで複数人が同時に遊ぶ」ことを封じる仕組みといえそうです。それと入れ替えに「いつも遊ぶ本体」システムが廃止されたことで、家族やカップルが特定のゲームで同時プレイすることは不可能となりました。

「1本のソフトで複数人が同時に遊ぶ」を大まかに説明すると、従来は、たとえば親のアカウントが「いつもあそぶ本体」としてSwitchを登録していて、これとSwitch Liteの2台に親のアカウントでダウンロード購入したソフトをインストールした場合、子のアカウントではSwitchでのみそのソフトをプレイできるわけですが、このとき同時に親のアカウントでSwitch Liteでのプレイも可能でした。これができなくなったということです。

 バーチャルゲームカードについて任天堂が、「返却後もセーブデータは残るので(中略)自分でソフトを購入したりして続きをプレイすることができます」と言っていることから、その裏には「同時プレイする人数分だけゲームを買って下さい」という、企業として真っ当な願いが込められているようです。

「キーカード」は、Switch 2専用の物理メディアで、ゲームを起動するための「鍵」情報だけが記録されています。ゲーム本編のデータは含まれておらず、本体に挿入すると、必要なデータがインターネット経由でダウンロードされる仕組みです。

 このため、購入直後にすぐプレイできず、安定したネット接続と十分なストレージ空き容量が必要になります。一見するとユーザーにとってメリットが少ない形式にも見えます。

 任天堂アメリカも海外メディアに対して「ファーストパーティタイトルではキーカードを使う予定はない」としつつ、「大容量・高品質なコンテンツを提供しやすくするための仕組み」と説明しており、ユーザーの利便性には触れていません。

 背景には、近年のゲームソフトの大容量化があります。500GBから700GBクラスの作品も珍しくはなく、Switch 2用ゲームカードの最大容量は64GBに増加したものの、それでも収まりきらないことが多いのです。さらに、カードの大容量化は製造コストの上昇を招き、販売価格も押し上げます。

 実はキーカードは、ユーザーにとっての利点があります。物理パッケージとしてコレクションできる点や、アカウントに紐づかないため貸し借りや中古売買がしやすい点です。もちろんこれらの点、特に中古売買については、任天堂が公式に言及することはないでしょう。

 ただし、将来的に任天堂がサーバーの提供を終了した場合、キーカードだけが手元に残っても再ダウンロードや再インストールはできなくなり、実質的に「無価値なプラスチック板」になるでしょう。任天堂が自社開発タイトルでキーカードを使わない方針をとっているのは、後世にゲーム資産を残していく意図もあるのかもしれません。

(多根清史)

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多根清史

フリーライター。主にゲーム・アニメ・漫画を守備範囲としてきたほか、ここ数年は(個人的なガジェット好きもあり)iPhoneやスマートフォン、インターネットやPCなどハイテク全般の記事も執筆。著書に『宇宙世紀の政治経済学』『教養としてのゲーム史』、共著に『超ファミコン』『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』など。

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