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誕生から50年の『ガッチャマン』 コンドルのジョーが「アニソンの大王」になったワケ

今年2022年で生誕50周年を迎えたTVアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』。当時から高い人気を誇った本作は、その後のアニメに大きな影響を与えた名作でした。さらに、その人気からいくつものリブート作品を生み出すことになるのです。

アニメ作品にもたらした影響とは?

TVアニメの人気を受けて製作された、『劇場版 科学忍者隊ガッチャマン』DVD(エー・アール・シー)
TVアニメの人気を受けて製作された、『劇場版 科学忍者隊ガッチャマン』DVD(エー・アール・シー)

 本日2022年10月1日は、半世紀前の1972年にTVアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』が放映開始された日です。タツノコプロの製作したアニメ作品として放送当時は人気を博し、以降の作品群にも多大な影響を与えた作品でした。

 本作が後に与えた影響で最も有名なものは、個性豊かな5人チームである点でしょうか。江戸時代から人気のある歌舞伎の演目『青砥稿花紅彩画』通称「白浪五人男」からもわかる通り、古来から5人組はグループとしても見栄えが良く、集団を中心とした作劇として使いやすいという利点があります。

 この5人組にハッキリとした個性を組み込んだのが本作でした。熱血漢のリーダー、クールな二枚目、美しく優しい紅一点、最年少のムードメーカー、気の優しい力持ち……といった5人組をデザイン時から計算して作っており、子供にもキャラがわかるようシルエットでわかるくらい区別した部分が、本作のヒットにもつながっています。

 ちなみにタイトルの「ガッチャマン」はG-1号・大鷲の健を指す言葉で、科学忍者隊全員を指す言葉ではありません。ゆえにグループヒーローものではありますが、本来は主役である健を中心としたヒーローアクションというのが意図としてあったのでしょう。

 しかし、実際の作品ではメンバーそれぞれにスポットが当たり、G-2号・コンドルのジョーに至っては最終回までのドラマにより、「陰の主役」と言われてファンから熱い支持を得ることになりました。

 このように本作はキャラの魅力にあふれた作品であり、それまでの子供向けアニメとは一線を画すハードな展開を時おり見せます。たとえば、地球征服をもくろむ敵勢力「ギャラクター」を撃退したものの、敵の作戦は成功させたり、勝利しても結果的に街が壊滅したりする苦い終わり方など、主人公側のハッピーエンドとは言えない物語が多々ありました。

 こういったシリアスな展開が後々も評価され、本来のターゲット層とは違うファン層を生んだ最初の作品のひとつと言われています。そのファン層は根強く、『宇宙戦艦ヤマト』の台頭でアニメブームが起こった際、劇場用映画が1978年に制作され、続いて続編となるTVアニメ『科学忍者隊ガッチャマンII』(1978年)が放送開始されました。

 もちろん、メインターゲットである男児たちの人気も高く、特に母艦である「ゴッドフェニックス」と、その構成パーツである「Gメカ」は好評だったと思います。当時はロボットアニメブーム前夜だった時期で、男児たちのあこがれのメカは『サンダーバード』をはじめとした万能型の空飛ぶマシンでしたから、当然かもしれません。

 本作は日本のアニメ史上、はじめてメカニックデザインがクレジットされた作品と言われています。ここにクレジットされたのが中村光毅さんと、本作がデビュー作になる大河原邦男さんでした。そういった点からも本作がヒーローアクションだけでなく、大型メカの戦闘も重視していたことがわかります。

 ちなみに本作の第59話で、これまでギャラクターのメカ鉄獣を作っていたオガワラー博士とナカモーラ助手という楽屋落ちのキャラが登場していました。当時、子供だった筆者は気づかず、後年になってツッコミを入れることになります。タツノコプロの十八番である、スタッフをアニメ作品に出すパターンのひとつでしょう。

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