アニメ『姫ちゃんのリボン』30周年 『セーラームーン』ヒットのライバル誌と「真逆」の戦略
あくまでも女性層をターゲットにしたTVアニメ作り

『姫ちゃんのリボン』のTVアニメ化。それには前述した『ちびまる子ちゃん』の影響もあったかもしれません。なぜならアニメ『姫ちゃんのリボン』は、『ちびまる子ちゃん』の第1期が終了直後、入れ替わるようにTV放送が開始されたからです。
製作会社もTV局も違うふたつの作品ですが、このタイミングでの放送はTVアニメ作品がなくなることへの「りぼん」側の焦りだったのかもしれません。この当時の『ちびまる子ちゃん』の人気は高く、正統な少女マンガではないものの「りぼん」の顔でした。ここでTVアニメ作品を失うことは、ライバル誌「なかよし」でヒットの兆しを見せ始めていた『美少女戦士セーラームーン』による独走を許すことになりかねません。
そう考えた「りぼん」が看板作品である『姫ちゃんのリボン』をTVアニメ化しようとするのは当然の戦略でしょう。アニメ化でのメインスポンサーも玩具会社の「タカラ(現在のタカラ・トミー)」と、『美少女戦士セーラームーン』のスポンサーである「バンダイ」とライバル関係にあることも見逃せません。
この「タカラ」がスポンサーになったことで、TVアニメでは原作にない「魔法のパレット」や「秘密のハートタクト」といった魔法のアイテムが登場しています。この商品展開も好調で、この「りぼん」と「タカラ」のTVアニメ枠は4作品で5年半ほど継続しました。
またTVアニメで話題になったのが、この前年にCDデビューしたSMAPがオープニング曲とエンディング曲を担当していたことです。さらに登場キャラクターのひとりである支倉浩一の声を、SMAPの草なぎ剛(※なぎの字は弓へんに剪)さんが演じていました。ちなみに後のミュージカルでは、この支倉先輩はTOKIOの長瀬智也さんが演じています。
この他にも、姫子と最終的に恋人になる小林大地の声は元宝塚女優の大輝ゆうさんと、幅広い女性層に向けたキャストでした。そういった点は、同時期の『美少女戦士セーラームーン』が男性層も取り込もうとした戦略とは逆に、女性層向けに徹底した布陣だと言えるかもしれません。
原作のストックが半年ほどでなくなったことから、TVアニメでは早い段階でアニメオリジナルエピソードが入りました。原作マンガが姫子の恋愛や友情を軸に連続ストーリーとなっていましたが、TVアニメでは短編1話完結の話が中心で、コミカルな要素もふんだんに取り入れられています。
また、原作マンガとTVアニメの終了がほとんど同時でしたが、それぞれまったく別なストーリーで完結していました。怒涛の展開でハラハラした原作マンガとは異なり、TVアニメでは予定調和で安定した最終回を迎えています。正確に言うと、TVアニメの実質的な最終回は一本前でした。
この『姫ちゃんのリボン』の成功が、その後の「りぼん」連載の人気作のTVアニメ作品に続きます。そう考えると、「りぼん」だけでなく『姫ちゃんのリボン』が90年代の少女ものアニメに与えた影響は大きなものだったと言えるでしょう。
(加々美利治)






