『鬼滅の刃』うかつな無惨、5つの失策 慎重な性格なら1話で「完結」していた可能性
『鬼滅の刃』の鬼舞辻無惨は極悪で最凶の「俺様」キャラ。圧倒的な力があるにもかかわらず、弱い存在と見下す人間たち(=鬼殺隊)によって、次第に追い詰められていくのは、無惨自身の詰めの甘さや精神的な幼さなどが原因の失策のせいです。今回は、無惨が「刀鍛冶の里編」までにしでかした、5つの失策について考えてみます。
大丈夫!? 物語冒頭から「失策」続きの無惨

2023年4月に放送開始が発表された『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編では、上弦の鬼たちが一挙に集結します。それを束ねる鬼舞辻無惨は鬼の始祖にして、極悪で最凶、傲慢で自分だけがかわいい「俺様」な輩です。彼は唯一の弱点である太陽の光を克服して不老不死の完全体になるため、青い彼岸花を探したり、日光を克服する特殊体質の鬼の登場を期待して次々に鬼を生み出したりしています。
一応、努力はしてはいるわけです。しかし、そこは自分だけが大切で、他はどうでもよくて自分が生きていることだけを重要視している俺様な無惨のこと。圧倒的な力があるにもかかわらず、自身の詰めの甘さや精神的な幼さ、短気などが原因で失策をいくつも重ね、彼が弱い存在と見下していた人間たち(=鬼殺隊)によって、次第に追い詰められていきます……。
今回は、そんな極悪で最凶なのにイマイチ詰めが甘い無惨がしでかした、「刀鍛冶の里編」までの5つの失策について考えてみます。
●その1・慎重に待てない、「詰めの甘さ」が残念!
無惨の詰めの甘さは、ストーリーの冒頭から見られます。炭治郎不在の竈門家を襲ったのは偶然だったようですが、ここで早くも、残念な点が2点挙げられます。
鬼である無惨が人間を襲うのは、たんに食糧としてというだけでなく、日光を克服する特異体質の鬼を生み出して吸収するという目的がありました。とすれば、無惨は一家を襲った後、少なくともしばらくはその場に残って、鬼化して生き残る者がいないかを見守るべきです。鬼化して特異な体質のものが現れるかもしれませんし、そうでなくても手下として使えばいいのですから。
実際、禰豆子は特異体質の鬼であったので、竈門家を襲った後、もし無惨が「よし! 念のため1日ここに残って様子を見よう!」という慎重な性格で、禰豆子の変化の可能性を見きわめられれば、『鬼滅の刃』は第1話にして無惨が不老不死の完全体となって終わってしまいます……。
しかし、無惨は禰豆子がまだ生きていることに気付かなかったのか、鬼になって生き残ったものがいても自分の「呪い」でコントロールできると思ったのか、「念のため」の時間もなく、そのまま去ったのです。これは痛恨のミスでした。
無惨の詰めの甘さは、それだけではありません。彼がすでに立ち去っていたことで炭治郎は禰豆子を保護できましたし、炭治郎自身も命を落とさずにすんでいます。ここでの無惨の失策は、家族「全員」を襲わなかったことです。
鬼殺隊には、家族や大切な人を殺され、鬼への復讐を誓った隊士が数多くいます。水柱・冨岡義勇や蟲柱・胡蝶しのぶら、複数名の柱たちにとって、鬼に家族や大切な人の命を奪われたことが鬼を倒す原動力です。つまり、不用意に「生き残り」をつくることで、無惨は自分の身を自ら危険にさらしていたと言えます。
炭治郎の場合、妹・禰豆子を人間に戻すため、鬼殺隊の一員となって力をつけ、「遊郭編」では上弦の鬼を倒し、無惨を追い詰める存在になりました。たしかに無惨は最強の存在ではありましたが、自身の甘さや不用意さが、「そもそも」の大きな失策を生んだのです。
●その2・部下への愛情不足と「想像力の欠如」が残念!
無惨は「呪い」によって鬼たちの居場所を把握し、思考を読んだり、自分の名前を口にした時には無慈悲に命を奪ったりします。ということであれば、鬼が鬼殺隊にとらえられた時点で殺してしまうことも、彼にとっては簡単なことのはずです。しかし、藤襲山(ふじかさねやま)には、とらわれた鬼がウヨウヨいて、鬼殺隊の最終選別の「試験台」にされています。蟲柱・胡蝶しのぶなどは、その鬼たちを使って、さまざまな毒や薬の研究をしていたに違いありません。そう考えると、とらわれていて役に立たないばかりか、鬼殺隊に利用されている藤襲山の鬼たちをそのまま放置していたのは、無惨の想像力と部下への愛情の欠如が招いた大失策と言えるでしょう。