マグミクス | manga * anime * game

なぜ最近の「最強主人公」は嫌われがち? “決定的な違い”は、冴羽リョウやリムルたちの「ひと工夫」

最初から最強の主人公はなぜ嫌われるのか? 「俺何かやっちゃいました?」系の作品が敬遠される一方で、『ワンパンマン』のサイタマや『シティーハンター』の冴羽リョウのように愛されるキャラもいます。その違いはどこにあるのか、「最強」の描き方から見えてくるポイントを整理しましょう。

人気の“最強主人公”に共通する要素とは?

画像は、『転生したらスライムだった件』1st season 第1巻 DVD(バンダイナムコアーツ) (C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会 (C)柴・伏瀬・講談社/転スラ日記製作委員会
画像は、『転生したらスライムだった件』1st season 第1巻 DVD(バンダイナムコアーツ) (C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会 (C)柴・伏瀬・講談社/転スラ日記製作委員会

 異世界転生モノのアニメが増えて以降、いわゆる最初から最強クラスの力を持つ主人公に対して、苦手意識を抱く声が目立つようになりました。しかし「最初から最強」という設定自体は、異世界作品に限らず従来から数多く存在してきたものでもあります。では、なぜ異世界モノの最強主人公は敬遠されがちで、ほかの作品では受け入れられるのでしょうか? その違いに注目してみます。

 例えば『ワンパンマン』の「サイタマ」は、どんな敵もワンパンチで倒してしまう圧倒的な強さを持つキャラクターです。しかし、その強さゆえに勝利に達成感を見出せない虚無感を抱えており、「最強であること」そのものが物語のテーマになっています。単なる無双ではなく、強さの裏にある空虚さを描いている点が、多くの支持を集めている理由のひとつといえるでしょう。

『シティーハンター』の「冴羽リョウ」もまた、文句なしの実力を持つ最強格の主人公です。ただし、その強さは作品の「前提」として機能しています。裏社会の始末屋(スイーパー)として仕事を完璧にこなす超人でありながらも、コミカルな一面や人間味のある弱さも併せ持つ人物である点が、冴羽リョウというキャラクターの魅力なのではないでしょうか。

 近年の作品では『マッシュル-MASHLE-』の「マッシュ・バーンデッド」も印象的な存在です。魔法がすべてを支配する世界で、筋肉だけで戦い抜くという設定は、最強でありながら「異質」な存在としての面白さを生み出しています。魔法というルールのなかで、あえて別の土俵からねじ伏せる構造が、爽快感につながっているのかもしれません。

 さらに『ようこそ実力至上主義の教室へ』の「綾小路清隆」のように、「普段は実力を隠しているが実は最強」という隠れ最強型も人気です。圧倒的な能力を持ちながら、それを表に出さず状況をコントロールしていくスタイルは、読者だけが「本当の実力」を知っているという構図を生み、独特のカタルシスをもたらしています。

 これらの作品に共通しているのは、単に強いだけではなく、「強さの意味」や「物語のなかでの役割」が明確に設計されている点です。強さそのものがテーマになっていたり、世界観と結びついていたり、あえて隠されていたりと、それぞれにひと工夫が見られます。どうやらそこが、「最強主人公」が受け入れられる作品に共通する特徴といえそうです。

 実際、異世界系作品のなかでも『転生したらスライムだった件』や『オーバーロード』のように、最強でありながら思い通りにいかない状況や、世界との摩擦が描かれている作品は高く評価されています。

 一方で指摘されがちなのが、「強さですべてが解決してしまう」構造です。どんな難題や強敵も容易に乗り越えられてしまうと、物語としての緊張感は生まれにくくなります。さらに周囲のキャラクターが主人公を過剰に持ち上げる展開が続くと、読者や視聴者が入り込む余地が薄れてしまうという意見も少なくありません。こうした要素が重なることで、「最強主人公=つまらない」という印象につながっている側面はありそうです。

 もちろん最強主人公そのものは、決して悪い設定ではありません。重要なのは、その強さをどう物語に組み込むかにあります。圧倒的な力を持つからこそ描けるドラマもあり、「最強」という要素そのものではなく、その見せ方こそが作品の評価を分けているのではないでしょうか。

※「冴羽リョウ」の「リョウ」は、正しくは「けものへん+うかんむりなしの寮」

(ハララ書房)

【画像】あっ、見ちゃってごめん! こちらは着替え中だったリムルの秘書役「シオン」です

画像ギャラリー

ハララ書房

エンタメ記事専門の編集プロダクション。漫画・アニメ・ゲームはもちろん、映画やドラマ、声優にも精通。メイン・サブを問わず、カルチャーの最前線を追いかけていきます。

ハララ書房関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

アニメ最新記事

アニメの記事をもっと見る