死んだのに「しれっと生き返った」ジャンプキャラたち 「都合良すぎ!」
フィクションだからこそ心の底から楽しめる要素として、キャラクターの生き死にが挙げられます。「死んでしまった!」とショックを受けて純粋に悲しみ、「えっ、お前、生きてたの!?」と感激するのは創作ならではの感覚です。今回は「週刊少年ジャンプ」から3作品、そんな展開を見せてくれたマンガを紹介します。
死んだと思わせて実は生きていた!

現実ではめったに味わえない経験をさせてくれるのも、フィクションの醍醐味のひとつです。特に登場人物の死亡は、そのキャラクターへの思い入れが強いほどショックが大きくなります。ですが、ときに“死”さえもひっくり返してしまうのも、エンタメの楽しさならでは。「死んだと思ったら生きていた!?」「死んだのに蘇った!」そんなジャンプマンガを3作品、紹介しましょう。
●『HUNTERxHUNTER』のヒソカ=モロウ
今年はジャンプ本誌で連載が再開されて盛り上がる『HUNTER×HUNTER』。本作屈指の曲者であるバトルマニアのヒソカと、彼に狙われた凶悪な盗賊集団「幻影旅団」リーダーのクロロ=ルシルフル。長い因縁を経た両者の決闘が、天空闘技場で行われました。
観客を人間爆弾にするクロロの冷徹な攻撃に、ヒソカは伸縮自在の愛(バンジーガム)で対抗しますが防戦一方。ヒソカは自らの望み通り、クロロの知略と技術を味わい尽くした挙げ句に、無惨な亡骸に成り果てます。ところがヒソカは死ぬ瞬間、秘策を自分に仕掛けます。死後に能力が強まって発動する「死後の念」現象で蘇ったのです。ヒソカはクロロとのさらなる戦いを求めて、ふたりの幻影旅団を殺害して、残りのメンバーも狙い続けると宣言します。
クロロは大事な仲間の命を、勝ったはずの相手にまんまと盗まれた格好になりました。ヒソカの狙い通り、クロロはヒソカへ本気で復讐することを誓います。ヒソカにとっては、自分の死さえも望みを叶える過程に過ぎなかったのでしょう。

●『魁!!男塾』の塾生たち
ライバルとの死闘! かつての強敵が頼もしい味方に! 死んだはずのアイツが、まさかの再登場! どれも作劇としては飛び道具であり、乱発してしまうとお話が軽くなってしまう、扱いの難しい展開です。
しかし1985年から1991年まで、「週刊少年ジャンプ」でそんな飛び道具をマシンガンのようにぶっ放し続けたバトルマンガがありました。それが『魁!!男塾』です。体を武器や手足でぶち抜かれる! 落ちたら助からない高さの溶岩や硫酸に落ちる! 禁断の技を使って命を落とす! 骨すら残さず粉微塵!
……どれも生きていました。理由は特に語られません。王大人(わん・たーれん)の「死亡確認」の宣言が、虚しく響き渡ります。仲間の死は悲劇的でありながらも、後を託された者たちを奮い立たせます。そして死んだはずの友が生きていたら嬉しいという素朴な感情もまた、人の心を強く動かします。「お話の中でくらい、いいじゃないか。その場の熱さと迫力を楽しんでくれよ!」そう私たちに語りかけるかのように、男塾の塾生たちは生と死の境目を飛び越えてくるのです。

●『ジョジョの奇妙な冒険』のモハメド・アヴドゥル
未来を読める占い師であるアヴドゥルですが、仲間をかばったために不意を突かれて、銃撃されたことがあります。当たったのは額に正面から。どう見ても完全な致命傷です。かばわれた側であるポルナレフは嘆き悲しみますが、それと同時に、殺された妹の仇を取ろうと頭に血がのぼっていたのを、無理矢理に冷やしてもらうきっかけにもなりました。
その後、ポルナレフはアヴドゥルの父親と出会うのですが、実はこの老人こそが、一命をとりとめていたアヴドゥル本人だったのです。しかも彼以外の仲間は全員その事実を知っていて、話を合わせる芝居まで打つ始末。そうとは知らないまま、妹とアヴドゥルの姿をした敵のスタンド能力にポルナレフが襲われてしまいます。
「チッ♪ チッ♪」「YES I AM!」 これを間一髪で助けた本物のアヴドゥルの、これまで見たこともないハイテンションぶり。ポルナレフはもちろん、われわれ読者も呆気にとられたものです。アヴドゥルは負い目を感じていたポルナレフが未来を向けるように、生き返る形で一芝居打ってまで劇的な再会を果たして、承太郎たちと合流するのでした。
* * *
その後のアヴドゥルはDIOの館で再びポルナレフをかばって、ヴァニラ・アイスの暗黒空間に飲み込まれて今度こそ帰らぬ人になりました。ですが、その献身が巡り巡ってディオという巨悪を倒すことにつながりました。男塾の面々も同じです。逆に、ヒソカのように自分本位な人物が、私たちにはできないようなことを、どこまでやってのけるかにも注目したいところですね。
(かーずSP)