上には上がいた? 強いのに敗北シーンが「カット」された不遇キャラ4選
数々の戦いが起きるバトルマンガでは、実力者と評され、強さも表現されていたはずキャラなのに、残念ながら「敗北シーン」がカットされてしまった不憫なキャラもいます。今回は、読者が「どう負けたのか気になる」と、たびたび思い出してしまう気の毒なキャラを紹介します。
遠くで戦ってると思ったら、死体で帰還!?

バトルマンガには、「強さのインフレ」がつきものです。確かな実力を見せたキャラがいても、さらに強い敵に敗北してしまうことも珍しくありません。
さらに、ページをめくったらそのキャラの敗北シーンが丸々カットされ、地に伏したり、すでにこと切れていたり、など屈辱的な姿が描かれているパターンもあります。今回はそんな不憫すぎる、「敗北シーンがカットされた」キャラを紹介します。
●7回のクリア経験があるはずが……『GANTZ』の岡八郎
アニメ化、実写化もされた人気マンガ『GANTZ』は、死んだはずの人々が、謎の大きな黒い玉「ガンツ」に命じられて、地球を脅かす星人たちとの戦闘に巻き込まれていく物語です。星人との戦闘は過酷を極め、死者が出ることも珍しくありません。そんなシビアな戦いのなか、「大阪編」で登場した大阪チームの一員・岡八郎は、過去に「ガンツ」のミッションを7回も100点でクリアしており、ひとりで強力な星人を倒したこともある実力者でした。
岡はクリア経験が豊富なため、強力な武器を多数所持しているだけでなく、戦いのなかで敵の弱点を見抜く、洞察力にも優れたキャラです。同じ大阪チーム・桑原の「(自分たちが倒せなくても)どうせ岡がやってくれる」という言葉からも、岡の圧倒的な強さは十分に分かります。
そんな岡は「100点ボス」の強敵・ぬらりひょんとの戦闘でも、攻撃を受けても平然としているどころか、「今の俺にスキがあったらなー、どっからでもかかって~~こんかい!」と、相手を挑発する余裕さえ見せていました。そして、何度倒しても再生を続けるぬらりひょんに応戦を続け、ついに体を真っぷたつにした岡でしたが、突如「俺にはリスクがでかすぎる」と戦線離脱します。
その後、しばらく岡以外のキャラだけで戦いが繰り広げられましたが、最終形態になったぬらりひょんは、東京チームの加藤たちに「ここで待ってろ」と言い、岡を追いかけに行きます。そして、遠くから爆音が聞こえた後、戻ってきたぬらりひょんの手には、上半身だけになった岡の姿が……。あれほど強かった岡があっさりと敗北、具体的な描写すらないという展開は、読者を絶望させました。それでも岡が見つけたぬらりひょんの「弱点」は、その後の仲間たちの勝利につながったため、無駄ではなかったといえます。
●勇次郎と「並び立つ強さ」と言われていたが? 「刃牙」シリーズの超軍人・ガイア
主人公・範馬刃牙や、さまざまな格闘家の戦いが魅力の「刃牙」シリーズのなかで、「地上最強の生物」として圧倒的な強さを誇るのが、刃牙の父・範馬勇次郎です。第1部『グラップラー刃牙』の「幼年編」(本編の4年前)の時点で、そんな勇次郎に匹敵する実力者として名前が噂されていたのが、「ミスター戦争(ウォーズ)」の異名を持つガイアでした。
自衛隊所属のガイアは、多重人格で普段は気弱な衛生兵の「ノムラ」として過ごしていましたが、一度目覚めると「超軍人」へと変貌します。周囲にあるものを武器として利用する「環境利用闘法」の達人でもあり、夜叉猿や花山薫を倒して急成長中の刃牙を、一時心肺停止に追い込むほどの強さを見せました。
最終的には刃牙に敗北するも、ガイアは刃牙と友情を結びます。そして、刃牙がついに目標とする父・勇次郎と対戦する日、それまで戦った仲間たちが、戦いの準備のために集まってくれるのですが……なぜかガイアは、姿を見せていませんでした。そして、勇次郎が決戦の地・横田基地にヘリで降り立ったとき、なんとガイアが先にヘリから降りてきて、勇次郎の前に跪かされます。その姿は、包帯を巻かれ顔も傷やアザだらけという、痛々しいものでした。
衝撃の光景のなか、現場にいたガイアの部下たちは、彼が「先に行ってな オレはヤボ用をすませてから行く」と言っていたことを思い出します。セリフのみで肝心の戦闘シーンは描かれていませんが、ガイアの凄まじい戦闘術が、勇次郎に全く通用しなかったことは明らかでした。ガイアの無惨な姿と戦闘描写のカットは、勇次郎の異常な強さを再確認させる見事な演出だったと言えます。
ガイアはその後の「最大トーナメント編」にも登場せず、「戦士としてはもう終わったのか」と思われていましたが、第2部『バキ』で突如再登場し、最凶死刑囚のひとり・シコルスキーを圧倒して復活を遂げました。その後、スピンオフ『バキ外伝 GaiA』では主人公にもなっています。