強キャラだったのに「弱体化」したジャンプキャラ・3選 正義に目覚めたのが仇に?
バトルマンガでは、死闘を繰り広げた強敵が再登場した時に「あの強さはなんだったのか」と呆れるくらい、“噛ませ犬”として大敗してしまうケースがあります。強敵として現れつつも、その座を退いたジャンプキャラ3人を紹介します。
読者もビビった残酷キャラだったのに、ナゼ弱体化?

残忍で歯が立たない強敵との戦いで、主人公が命を落としかねない苦戦を強いる。バトルマンガでもっともハラハラする王道の展開でしょう。そんな強キャラとして登場したのに、再戦した時には、なぜか弱体化している……?
しかし強キャラとしての格を保てなくても、その後の身の振り方で、キャラクターへの総合評価は分かれます。あっさりと退場したキャラから最前線で活躍し続けたキャラまで、三者三様の“元”強キャラの姿を、往年の「週刊少年ジャンプ」作品から3人紹介します。
●『ドラゴンボール』桃白白
「世界一の殺し屋、桃白白だじょー」ふざけた名乗りとは裏腹に、桃白白は『ドラゴンボール』において初めて現れた、剥き出しの殺意でした。「世界最悪の軍隊」という触れ込みながらもどこかユーモラスさがあったレッドリボン軍でしたが、桃白白は幹部のブルー将軍をベロの一撃で殺したのです。手段も含めて凄まじい異常性でした。
服を仕立てに行った店で代金を求められて「ならおまえが死ぬか? 釣りはいらんぞ くれてやる」とあっさり店主を殺したり、桃白白の行動には、生活感と異常性が入り混じる不気味な迫力があるのです。一度は孫悟空さえも負けてしまい、カリン塔に登って修行しないと勝てないほどでした。
しかし、サイボーグとして復活した桃白白の扱いはみじめなものでした。ピッコロ大魔王が率いる魔族との死闘を乗り越えてきた悟空たちにとっては、サイボーグ化した桃白白など、まったく歯牙にかけない格下になっていたのです。勝てないと見るや、なりふり構わず武器を持ち出して、「武道家としての誇りさえも失ってしまったのですか…!!!」と弟子の天津飯にあっさり敗北。なんとも情けない退場となったのです。
●『キン肉マン』ウォーズマン

スーパーヒーローのパロディめいた序盤のコメディから、熱い真剣勝負をするバトルマンガに成長していった『キン肉マン』ですが、その転換点のひとつが強豪超人・ウォーズマンとの戦いです。
超人オリンピック大会を制したキン肉マンは、決勝で倒したロビンマスクの弟子であるウォーズマンと、次の大会で激突します。負ければ死ぬという不利な条件での戦いを「わたしが残虐ファイトで対抗してどうなる」と高潔さで制したキン肉マンは、初のキン肉バスターを披露して勝利。名実共に正義超人の代表格になりました。
ここから続くキン肉マンの華々しい戦績とは対極的に、ウォーズマンは長く停滞しました。バッファローマンとの戦いでこそ左のロングホーンを折る善戦を見せましたが、力の差を見せつけられたネプチューンマンに対しては「アワワ…」と怯えて完敗します。勝ちこそしたものの、記憶がすっぽりと抜け落ちて無様な姿を晒したザ・マンリキ戦も大概でしたが、続くマンモスマンとの野良試合では「ウギャア キン肉マーン!!」と本番前にたやすく撃破されるハメに……。
かつては次々と対戦相手を葬って、古傷として残る傷をラーメンマンに負わせた残虐超人・ウォーズマン。キン肉マンによってクリーンファイトと優しさに目覚めたがために、敵の強さを引き立てる噛ませ犬ポジションになってしまう、皮肉な結果となりました。