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アニメ市場「過去最高」なのに制作会社の「倒産」続くワケ 業界特有のリスクも

コスト増大の最大要因は「スケジュールの遅れ」

税理士として、アニメ関連企業を数多く担当する加瀬洋さん(マグミクス編集部撮影)
税理士として、アニメ関連企業を数多く担当する加瀬洋さん(マグミクス編集部撮影)

――アニメ制作会社でコスト負担が増える要因は何でしょうか?

 アニメ制作会社で最もインパクトのあるコストは人件費です。そして、社内スタッフの給料にしろ、社外の外注費にしろ、人件費が増える原因はスケジュールの遅延です。スケジュールが伸びる原因のひとつは作品への「欲」ですが、この「欲」を入れないと良い作品ができないので、そこのバランスが非常に難しいんだと思います。

――そうなると、カギを握るのは、プロジェクトをまとめるプロデューサーの立ち位置でしょうか?

 立ち位置というより、スケジュール管理、計数管理ができる人がカギを握っていますね。一般の事業会社であれば経営管理部がそれに該当するんですが、アニメ制作会社だとそのポジションをそもそも設けないところも多いと思います。

 ですので、そうしたポジションの人を置くというのが、明暗を分ける部分ではあると思います。もちろん、財務の管理も必要になるのですが、その上流にあるスケジュール管理、計数管理ができていないと、お金の出血を止めることはできないと思います。

――アニメ制作会社からは、どのような相談が多いでのしょうか?

加瀬 やっぱり、「数字がわかる人がいない」という相談が多いですね。これまでも、制作機材や交際費といった部分についての数字にはお客様から突っ込まれることがよくあるのですが、経営に関わる数字の勘どころはやはり別のとろこだったりします。

――実際にアニメ制作会社から相談を受けるなかで、どのようなことを感じていらっしゃいますか?

「作品」への愛情が深いところが業界の良さでもあるのですが、この業界の経営で実際に難しいのは「継続すること」。私は普段からお客様に、「経営を『アート』から『サイエンス』に昇華させましょう」と話しています。直感で勝負するだけでは、継続して当てるのは難しい。それを「サイエンス」にするために、仕組みを作ったり、組織化したりしていかなきゃいけないということです。

 言うまでもなく、日本のアニメ制作会社の活動は「良い作品を作りたい」という作り手たちの熱意によって成り立っています。そこに、アニメづくりを「継続していく」という視点での知恵と熱意が注ぎ込まれれば、制作会社の経営はより力強くなり、さらに多くのファンに夢を与えていくことにつながります。そういった経営面でのサポートを我々は行っていきたいと思っています。

(遠山彩里)

●加瀬洋(かせ・ひろし)
アカウンティングフォース税理士法人・代表税理士。
青山学院大学経営部卒業後、公認会計士に合格。資格学校「TAC」の財務諸表論講師、監査法人トーマツ、ドリームインキュベータを歴任後、2012年に加瀬会計事務所(現:アカウンティングフォース税理士法人)に参画。企業のIPO支援や戦略コンサルティングなどの経験を活かして活動している。

【図】また増えてきた? 統計で見る「アニメ制作会社」の倒産件数

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