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「クラス中が悲鳴」「絶対トラウマ」…アニメ『はだしのゲン』が描いた原爆の凄惨さ

ロシアの核兵器問題、G7広島サミット開催、映画『オッペンハイマー』公開と「バーベンハイマー」問題など、核兵器について考えることが増えた昨今、あらためて注目したいのが、『はだしのゲン』です。原作マンガももちろん名作ですが、今回はアニメ版の凄まじい描写の数々を振り返ります。

洗練された絵柄と強烈な被爆描写

はだしのゲン』DVD(ジェネオンエンタテインメント)
はだしのゲン』DVD(ジェネオンエンタテインメント)

 軍国主義の狂気と原爆の悲惨さを克明に描いた中沢啓治先生のマンガ『はだしのゲン』は、いまなお世界中で読み継がれているベストセラーです。一方で、2023年春に広島市の市立小中高向けの平和教材から『はだしのゲン』が削除されるなど、「今の時代と合っていない」という声も聞こえてきます。「絵柄が苦手で読んでいない」という人もいるようです。

 マンガ『はだしのゲン』は、とてつもない名作だと断言できます。リアルで、恐ろしくて、それでいて活力に満ちていて、はちゃめちゃに面白い。それでも「苦手」だという人に、ぜひ観てもらいたいのが、1983年に公開されたアニメ映画『はだしのゲン』です。

 アニメ映画『はだしのゲン』はマンガに比べると、かなり洗練された絵柄になっています。原作のギラついていたゲンはすっきりした顔立ちになり、ゲンの姉・英子は美少女として描かれていました。

 また、登場人物の数が整理され、軍国主義に狂奔する市民の姿や非国民として中沢家が窮地に立たされる場面がカットされるなど、ストーリーもシンプルになっています。ある意味、非常に観やすくなっていると言えるでしょう。

●原爆投下と被爆描写のインパクト

 物語は戦時下ながら、穏やかな日常から始まります。アメリカ軍による空襲は日本全土にわたって行われていましたが、広島は被害をまぬがれていたのです。しかし、運命の日はやってきます。1945年8月6日午前8時15分、B-29から落とされた1発の原子爆弾が、広島の街と人びとを破壊し尽くしたのです。

 閃光が走り、爆発が広がると、風船を持った幼女は一瞬で服と全身の毛が焼き尽くされ、両方の目玉が落ちて丸焦げになってしまいます。軍服を着た男性は叫びながら全身が焼かれ、老人は目玉だけでなく首まで吹き飛んでいました。若い母親が黒焦げになりながらも、地面に落ちた黒焦げの赤子を守ろうとしているのは、母親としての本能でしょうか。

 広島城は倒壊し、市電もなぎ倒され、広島の街に巨大なきのこ雲が立ち上ります。学校でゲンと一緒にいた少女は、顔の半分がただれて死亡。その後もゲンは、体中にガラスが刺さったままの皮膚が焼けただれた人びとが歩く姿を目の当たりにします。ゲンの家も崩れて家族は下敷きになり、父と姉と弟は無惨に焼け死んでしまいました。

 さらに、防火水槽のなかで折り重なるように死んでいる人びと、川でひとりずつ溺れ死んでいく親子、赤子に乳をあげたまま焼け死んでいる母親など、この先も地獄絵図としか言いようのない凄惨な描写が続きます。その上、うめきながらさまよい歩く人びとの頭上に、放射能を含んだ「黒い雨」が降り注ぎました。

 どの描写からも、原爆の恐ろしさを子供たちに克明に伝えたいというスタッフの気合いが伝わってきます。原作マンガ、あるいは中沢啓治先生の自伝などに登場する描写を読むと、どれもけっして誇張した表現ではなく、むしろ忠実に描写しようとしていることがよく分かります。

【画像】可愛い絵柄からのギャップもトラウマ!「核兵器」の描写が出てくるアニメ(5枚)

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