8分で追いつこう! 完結直前アニメ『進撃の巨人』放送10年分の壮大な物語を振り返る
「地鳴らし」を決行したエレンの真意とは?

●すべてのカギを握る「始祖の巨人」の力
地鳴らしがある以上、巨人化の力をほとんど手中に収めるマーレでさえもパラディ島に手出しはできませんでした。そこでマーレは地鳴らしの発動条件となる「始祖の巨人」の力を奪いとるために、巨人化の能力を継承した大陸のエルディア人、通称「マーレの戦士」をパラディ島へと送り込みました。
それがエレンの同期であるライナー・ブラウンやベルトルト・フーバーたちであり、壁の国の平和を脅かした「鎧の巨人」と「超大型巨人」の正体でした。
先ほど「これは人類vs人類による壮大な戦い」だと述べましたが、極論をいえばこれはパラディ島のエルディア人と、その先祖たちによって大量虐殺されたマーレ人による因縁の戦いなのです。そして彼らの戦争のカギを握る「始祖の巨人」の力は、「進撃の巨人」の継承者であるエレンに受け継がれていました。

●なぜエレンは「地鳴らし」を発動させたのか?
結局、エレンによって地鳴らしは発動され、壁の外にある大陸は何千万もの巨人によって踏み潰されてしまいます。2023年3月3日に放送された「完結編(前編)」は、その地鳴らしを止めるべく、ミカサやアルミンたちがライナーをはじめとする「マーレの戦士」と手を組み、エレンのもとへたどり着く場面で幕を閉じました。しかしそもそもなぜエレンは、残虐極まりない地鳴らしを決行したのでしょうか。
実はエレンが継承した「進撃の巨人」には、未来の継承者の記憶を覗き見る力があります。今からおよそ4年前、勲章授与式で王女ヒストリア・レイスに触れた際、エレンは自身が世界を滅ぼす未来を目にしていました。それでもこのときのエレンはまだ普通だったように思えます。未来は変わるかもしれないと信じていたからです。
しかし世界と融和する道を探るために上陸したマーレの地で、パラディ島の人びとにどれだけの憎悪が向けられているのかを知り、他国との和睦は絶望的であることを悟ります。加えて未来を変えるために、あえて未来で助けたことのある少年を見捨てようとしますが、結局、見捨てられず助けてしまい、「未来は変わらないらしい」とさらに絶望してしまうのです。
エレンが地鳴らしを発動した理由には、恐らくそういった背景も関係しているのでしょう。ここからエレンは人が変わったようになり、平気で仲間を戦いに巻き込み、誰よりも大切であるはずのミカサやアルミンを傷つけて、ついにはパラディ島以外の人間たちを根絶やしにしようと地鳴らしを決行しました。
とはいえ、ここまではあくまで建前であり、アニメにおいてエレンの真意はこれまでのところ明らかになっていません。自分が世界を滅ぼす未来を見たエレンは何を思い、何を望んで地鳴らしを決行したのか、彼の本当の思いはこれから放送される最終話で語られるはずです。
これまで『進撃の巨人』では、エレンを「人類の希望」だと信じて多くの仲間が命を犠牲にしてきました。彼らが信じた希望は果たして本当に「希望」だったのか、その答えは11月4日(土)の「完結編(後編)」でぜひ確認してみてください。
(ハララ書房)