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「親殺し」はエレンの意思だった… 『進撃の巨人』残酷な結末の責任は誰のもの?

アニメ版『進撃の巨人』が遂に完結を迎えました。想像を超えた残酷で美しい結末には誰しも絶句したでしょう。人類の8割を殺し尽くした「終着点」は果たしてエレンの選択だけが原因だったのでしょうか。エレンの初期衝動から地ならしまで振り返ります。

巨大なテーマに真正面から挑み続けた傑作

平穏な暮らしに2体の巨人が影を落とす 画像はTVアニメ『進撃の巨人』Season 3 第4巻(初回限定版)DVD(ポニーキャニオン)
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 2023年11月4日、遂に傑作『進撃の巨人』が完結しました。自由を求めるエレンの旅路は目の前で母カルラを食い殺した巨人への憎しみから、エルディア人を迫害する世界への絶望へと変化し、最終的に自らが人類の8割を虐殺する悪魔となって討たれるという結末を迎えました。

 エレンが巨人を駆逐すると誓ったあの日、本当は何が起きたのでしょうか。母カルラの死の原因と、エレンの罪について振り返ります。

●本来なら母カルラではなくベルトルトが喰われていたはずだった

『進撃の巨人』の最終エピソードでエレンはアルミンにある事実を告白します。それは超大型巨人と化したベルトルトによってシガンシナ区の扉が破られた運命の日のことです。

 あの日、本来ならシガンシナ区に侵入してきた無垢の巨人はカルラではなく、力を消耗しきったベルトルトを喰らうはずでした。しかしベルトルトはまだ死ぬべきではなかったので、彼を見逃して無垢の巨人がカルラのもとへと向かうにまかせた、というのです。

 カルラを喰らった無垢の巨人の正体はエレンの父グリシャの前妻であり、王家の血を引くダイナでした。もしもダイナがベルトルトを喰らっていれば、超大型巨人の力を継承したダイナが人間に戻れていたことでしょう。

 ダイナはパラディ島の外の情報を持っており、しかも王家の血を引き継いでいます。生きていればその後の歴史に大きな影響を与える変数となったに違いありません。だからミカサによってユミルが愛の呪縛から逃れる未来に到達するために、超大型巨人の力をダイナに継承させるわけにはいかなかったのだと思われます。

 また、もしもエレンがああいった形でカルラを失っていなければ、巨人殲滅の強烈なモチベーションを与えることができなかった、という理由も考えられます。エレンがヒストリアの戴冠式で見た未来へつなげるには「母殺し」は避けられなかったのでしょう。

 エレンは、父グリシャを喰らって進撃の巨人の力を継承しただけでなく、母カルラを巨人に喰らわせる、というあまりにも残酷な選択を強いられていました。アルミンへの告白がなければ誰も想像できなかったであろう真実です。

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