「親殺し」はエレンの意思だった… 『進撃の巨人』残酷な結末の責任は誰のもの?
母殺しから地鳴らしまですべて自分の責任

座標には時間がありません。未来は確定しているようですが、すべてのイベントが同時に発生し、始祖の力を持つエレンの選択でダイナミックに変わっていくようです。進撃の巨人の未来を見せる能力、始祖の巨人の力や歴史介入の条件には解釈の余地がありますが、究極的にはすべての選択はエレンが下しましたし、エレン以外にそれができる人物はいません。
(アルミンの時間軸で)地鳴らしを終えてしまった後、「母殺し」を告白したのは、ここに到達するまでに起きた出来事の責任は、最初から最後まで自分にあるという意味だと思われます。どうしても親友のアルミンには「母殺し」の罪を聞いてほしかったのでしょう。
●諫山先生自身が手を加えてアニメ版で改変された部分
衝撃の告白をうけたアルミンは、エレンに人のいない極地や火山などの情報を教えて、自由への憧れを植え付けてしまったのは自分だから、この結果は共犯だといいます。またエピローグの手紙の中でヒストリアは「きっとこの結果はエレンだけの選択ではない、私達の選択がもたらした結果がこの世界なのだ」と語りました。
原作では時空を超えた進撃、始祖の巨人の力でエレンが歴史に干渉して動かしてきたように見えますが、最終巻刊行から2年を経て完成したアニメ版では特定の個人の意思だけでなく、人類全員に責任があると補足されています。
この改変はすべてをエレン個人の責任にしているようにも解釈可能な原作展開と比べて、より問題意識が高く「自分ごと」として受け取れるエンディングではないでしょうか。
これほどまでに自由を渇望するエレンを生み出してしまった世界の側にも、責任の一端があるに違いありません。
(レトロ@長谷部 耕平)