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劇場アニメ『幸福路のチー』のソン監督、人生に向き合い「台湾の日々」を映像化

人間は時間とともに「幸せの定義」を変化させていく

物語で重要な役割を果たす、おばあちゃんとチーのシーン。劇場アニメ『幸福路のチー』 より
物語で重要な役割を果たす、おばあちゃんとチーのシーン。劇場アニメ『幸福路のチー』 より

『幸福路上』からさらに4年の歳月を経て、長編アニメーションとなる『幸福路のチー』が完成しました。

 長編アニメの制作では、ふたつの奇跡がありました。主人公・チーのボイスキャストを演じたルイ・グンメイさんの参加。第55回アジア太平洋映画祭で最優秀主演女優賞もした、台湾を代表する女優です。

「第15回台北電影節」の審査員を務めていたルイさんに脚本を送ったところ、シナリオに感銘を受けた彼女はボイスキャストを買って出てくれました。ティーチインでは、彼女の寄せたビデオメッセージも公開されました。

 もうひとつは、テーマソングを歌うジョリン・ツァイさんの参加。世界的に知られる台湾の歌姫で、日本では安室奈美恵さんとコラボしたことでも有名です。「彼女にテーマソングを頼みたい」と言ったら、周りは呆れてしまったといいますが、ジョリンさんもまた、チーの人生に強い共感を覚えて快諾したといいます。

 イベントでは、映画監督(『ちえりとチェリー』)の中村誠さんが演出を務めた日本語吹き替え版の一部も上映され、チーの人生に大きな影響を与えたおばあちゃんを演じるLiLiCoさんをはじめ、日本のキャスト陣による共演を観たソン監督は涙ぐんでいました。

 監督は、『幸福路のチー』には、ふたつの意味があると言います。ひとつは、幸福路で生きるチーたち家族の物語。そしてもうひとつは、「人間は時間と年齢の変化とともに、幸せの定義を変化させていくこと」です。

 台湾社会への思い。亡き祖母に感じた不快感と謝罪。留学への憧れ。自分は特別な人生を送っていないと思ったソン・シンイン監督が、人生に向き合い完成させた『幸福路のチー』は、国境を越えて人びとの共感を集めています。

 ユーモラスなタッチとコミカルな描写、それでいてリアリティのある人生観が詰まった本作を観て、筆者もふわふわとした幸福感に包まれました。2019年を締めくくる映画体験として、劇場へ足を運んでいただきたい作品です。

(サトートモロー)

●映画『幸福路のチー』
2019年11月29(金)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、京都シネマほか全国順次公開。提供:竹書房、フロンティアワークス / 配給:クレストインターナショナル http://onhappinessroad.net

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【画像】『幸福路のチー』疎遠だった故郷で、人生の分岐点を考えるシーン(9枚)

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