カギは「ゲルググ」? ジオンの大失策か「ニュータイプ兵器を小出しで投入」の謎を読み解く
ニュータイプ兵器が集中運用できない理由の一考

シャアの「ゲルググ」は高性能なモビルスーツではあるものの、ニュータイプ用兵器などは何も搭載していませんでした。またこの時点で、シャアのニュータイプ適正がどの程度なのか、上司の「キシリア」が把握していないとは思えません。シャアをニュータイプ部隊の指揮官として任命し、後で「ジオング」も与えているのですから、ある程度、ニュータイプ能力があることは把握していたはずです。にも関わらず、シャアは「ジオング」までニュータイプ用兵器に搭乗していません。
恐らく、当時のサイコミュ技術では、複数のニュータイプ兵器を同じ戦場に投入すると、サイコミュ同士が混信して、うまくビットや有線腕部ビーム砲を動かせなくなるのではないでしょうか。だからシャアは、ニュータイプ能力で自分より勝るララァ(劇中でシャアは「ララァの方が優れている」と認めています)の「エルメス」にオールレンジ攻撃を任せ、自分は通常兵器の「ゲルググ」で護衛に徹していたのだと思われます。
そう考えるなら、特に「ブラウ・ブロ」のような図体の大きなMAには、エースパイロットの搭乗したMSの護衛を付けるべきでしたが、たとえばマンガ『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』に登場するエース部隊「キマイラ」は、「シャアのニュータイプ部隊が反乱を起こした際に、撃破するための戦力」とのことです。つまり、上官たるキシリアとしては「キマイラ」のようなエース部隊が、カリスマ性を持つシャアの影響下に置かれたり、ニュータイプたちと共感して寝返ることを恐れ、ニュータイプ部隊の護衛にはできなかったのでしょう。この両者が連携していたら、アムロの「ガンダム」でも撃破されていたかもしれませんね。
キシリアがシャアのニュータイプ部隊を信用しきれなかったばかりに(弟のガルマを殺し、自分も仇討対象なのですから、無理もありませんが)、ニュータイプ部隊とエース部隊が連携できず、連邦に敗れたと考えるなら「足並みのそろわないジオンらしさ」を感じてなりません。
(安藤昌季)






