セクハラ・持ち逃げ・捏造、殺人も? ハードモードすぎる「アイドル」アニメ3選
活動が徹底的に妨害されるアイドルアニメ
●『アイドル伝説えり子』

『アイドル伝説えり子』は、1989年4月より放送されたオリジナルアニメです。実在のアイドル・田村英里子さんとタイアップして制作されたことが話題になりました。
主人公の田村えり子(CV:矢島晶子、歌のパートは田村英里子)は、大手芸能事務所社長の父と元歌手の母のもとで何不自由なく育ちますが、いきなり交通事故で父が死亡、母も昏睡状態に。えり子は歌の才能を見出されてアイドルとしてデビューしますが、父の芸能事務所と財産を乗っ取った叔父・項介(CV:飯塚昭三。名演!)があらゆる手を使って、えり子の活動を徹底的に妨害しはじめます。
全51話にわたって主人公が次々と降りかかる不幸や苦難と戦いながら、アイドルとして歩み続けるというストーリーが展開します。項介の妨害はさまざまでした。生放送番組に出演するえり子のメイクに細工をする姑息なものから、ステージのセットに置かれた何台もの車を次々とえり子にぶつけようとするという、犯罪としか思えないようなものまで多数ありました。PV撮影でグアムに出かけたときは、屈強な男たちにえり子を襲わせますが、間一髪で元タレントの男に助けられます。
しかし、これも項介の罠でした。えり子が思わず男に抱きついた瞬間を撮影させて、スキャンダル記事を捏造したのです。仕事が激減したえり子は、地方でのドサ回りを余儀なくされることに……。
この後も、意識が回復した母が記憶喪失になっていたり、突然えり子の声が出なくなってしまったりと、さまざまなアクシデントが襲いますが、彼女はひとつずつ乗り越えて人気アイドルとして成長していきます。日本を代表するメロディメイカー・筒美京平さん作曲による主題歌、挿入歌が数多く流れるのも重要なポイントです。放映当時は「アイドル冬の時代」に突入しており、けっして注目度は高くありませんでしたが、アイドルアニメの名作と言っていいと思います。
●『パーフェクトブルー』
『パーフェクトブルー』は1997年に公開されたアニメ映画です。『千年女優』『パプリカ』などを手がけた、今敏監督の初監督作品として知られています。公開時は世界で高い評価を受けました。
3人組アイドルグループ・CHAMのセンターだった霧越未麻は、グループ脱退を宣言して女優に転身します。しかし、やっと出演できたドラマは出番が少なく、激しいレイプシーンまで撮影することに。未麻はバストトップも露わに熱演し、ヘアヌード写真集も出して、少しずつ人気が上昇します。
しかし、開設されたホームページに書かれた詳しすぎる自分についての日記を読み、ストーカーじみたファンへの不安と自分自身のキャリアへの不安が重なって、未麻の自我は女優としての自分とアイドル時代の自分に引き裂かれていきます。
同時に未麻の関係者たちが惨殺されていきます。未麻の精神は追い詰められますが、ラストでは事件の意外な真相が明らかになりました。
美麗な作画と美術、劇中劇を活かした巧みな脚本と卓抜な演出で描かれる残酷でサイコロジカルなアイドルの物語は、徹頭徹尾ハードモードですが、アニメ映画史上に残る作品だと言っても過言ではないと思います。多くのアイドルファン、アニメファン、アイドルアニメファンにぜひ観てもらいたい作品です。
(大山くまお)



