「ジャンプで打ち切り」の危機から王者へ! 運命も「ジャンル」も変わりすぎた3作
マンガ作品がヒットするには、漫画家の実力だけでなく、編集者の「腕」も重要な要素です。「週刊少年ジャンプ」掲載作品で、人気低迷の時期を経て、編集者の手腕によって歴史的なヒットとなったマンガをご紹介します。
読者の声をいち早く取り入れた、編集者の手腕が光る!
マンガ作品がヒットするには、漫画家の実力だけでなく、編集者の「腕」もとても重要です。「週刊少年ジャンプ」にも、編集者の「テコ入れ」によって、打ち切りがささやかれるほどの人気低迷時期を経て、歴史的ヒット作に生まれ変わった作品があります。今回は、編集者の大切さが分かる「テコ入れ」が運命を変えた3作をご紹介します。
●『キン肉マン』
1979年の「週刊少年ジャンプ」2号から掲載された『キン肉マン』も、テコ入れによって大きく運命が変わった作品です。主人公のキン肉スグルが地球制服を企む悪魔超人や怪人とプロレスで戦い、地球の平和を守るストーリーでおなじみ。世間では「格闘マンガ」というイメージが強いでしょう。
しかし、連載当初の『キン肉マン』は「ギャグマンガ」として掲載されていました。このギャグ路線では大きなヒットまではいかず、打ち切りの危機にあってしまいます。そこで読者からの反応の良かった「プロレス回」の要素を全面的に取り入れた、「超人オリンピック」を開催することに。「週刊少年ジャンプ」のスローガンである「努力・友情・勝利」を物語の基盤とした格闘マンガへと路線変更したところ、歴史的な大ヒット作となりました。
●『遊☆戯☆王』
「世界で最も売れたトレーディングカードゲーム」としてギネスに認定されている『遊☆戯☆王』にも、連載当初は苦しい時期がありました。しかし、もともと『遊☆戯☆王』は、カードゲームを主題としたマンガとしては描かれていません。いじめられっ子であった主人公の武藤遊戯が、「闇のゲーム」というさまざまな種類のゲームを利用して悪人を倒していくというストーリーでした。
連載当初の「学園編」では順調な人気を得ていたものの、古代エジプトを題材にした難解な物語展開になると読者からの支持は減り、人気が急降下してしまいます。そこで読者に好評だった作中のカードゲーム「マジック&ウィザーズ」を物語の中心にしたところ、大ヒットしました。機転の利いたテコ入れが、アニメ化やカードゲームの爆発的ヒットを起こし「ジャンプマンガ」の歴史に残ったのです。
●『ドラゴンボール』
『ドラゴンボール』は世界中から支持されている「ジャンプマンガ」の歴史に残る作品です。連載当初は、主人公の孫悟空がドラゴンボールを7つ集めるための旅をするという「冒険もの」要素が強く、実は狙ったほどの人気は出ませんでした。
悟空の魅力が伝わりきっていないと感じた編集者は、「冒険編」が終わったあと、キャラクターの個性を引き立てやすい「天下一武道会」というアイデアを持ち出します。これにより、『ドラゴンボール』はバトルマンガへと路線を変更していくのです。
「修行編」で登場した亀仙人やクリリンなどのキャラも好評で、同作はいまなお継続して新作が作られるなど、長く愛され続けています。歴史的大ヒットの裏側には、作者と編集者の作品への愛情の詰まったテコ入れが隠されていました。
(マグミクス編集部)