放送できない? 『カーレンジャー』最終回の最強ロボ「バリンガーZ」が幻になった理由
パロディでは済まされない時代に?

「バリンガーZ」が出てこなかった理由はそう、「著作権」の問題です。ファンからは「永井豪とダイナミックプロ側からクレームがついた」とささやかれましたが、真相は違うようです。
「カーレンジャー」はギャグ満載で愉快な作風でした。最後は「マジンガーZ」のパロディで視聴者を楽しませようと考えたのでしょう。「バリンガーZ」のロボットスーツを作り、大がかりなセットも組んで撮影を終了しました。
しかも、敵のボーゾック総長の声はアニメ『マジンガーZ』のボス役である大竹宏さんだったため、アフレコ台本にも「ジャンジャジャ~ン、バリンガーZ参上! いくわよー!」とあり、本家の「ジャンジャジャ~ン、ボスボロット参上!」の口調を真似て収録し、スタッフ一同大満足だったそうです。
ところが、制作の現場でそのようなお遊びが行われたと知った東映の上層部が、「それはヤバいのではないか!?」と協議し、その結果、NGと判断して最終回の内容を変更し、急きょ一部を撮り直してオンエアに間に合わせたのです。当然、パロディまがいの演出について、『マジンガーZ』の版元である永井豪先生側に許可など取っていませんでしたから、もし放送していたら大問題になっていたかもしれません。このエピソードは大竹宏さんが雑誌のインタビューでも話しており、本当に大変だったことがうかがえます。
それにしても、なぜこのようなアウトな内容で制作してしまったのでしょう? 推察ですが、昔は「著作権」が緩く、バラエティー番組でいろんなアニメのパロディーコントなどをしていたため、「楽しさ」を優先してしまったのでしょう。もちろん悪気はなかったはずですが、その認識が甘かったわけです。時代は著作権に関して大きな変化を迎えていました。
『カーレンジャー』放送時の90年代後半からインターネットが急速に普及し始め、ネットビジネスなどが多様化して著作権に関するトラブルが増えていた時期でした。1998年には、より厳しく改正した「著作権法」が施行されています。そんな時代の流れをシビアに察知して、「バリンガーZ」の登場を幻にさせたのだと思われます。
ちなみに、せっかく作った「バリンガーZ」のスーツは、アメリカ版の戦隊『パワーレンジャー・ターボ』(1997年)のなかで、ロボットの一部にリサイクルされて日の目を見たそうです。
※本文を一部修正しました(2024年2月2日16時02分)
(石原久稔)


