2019年の締めくくりは、やはり『天気の子』? 令和元年のアニメを振り返る
人気アニメ作品のメモリアルイヤー

2019年は『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)の放映から40年というメモリアルイヤーでもありました。NHK総合では『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』がオンエアされ、久々にテレビから流れる名曲「水の星へ愛をこめて」に涙したファンも少なくなかったのではないでしょうか。また各地で「富野由悠季の世界展」が開催されています。
2014年にテレビ放映された富野由悠季監督の『ガンダム Gのレコンギスタ』(TBS系)は全5部作の劇場版として再編集され、第1部『Gのレコンギスタ 行け!コアファイター』が11月より公開されています。
富野監督は劇場版『伝説巨神イデオン』(1982年)や同『機動戦士Ζガンダム A New Translation』(2005年~2006年)でも、テレビ版にはなかった新しいカットを大幅に取り入れ、ファンを驚かせました。今回の『行け!コアファイター』にも、衝撃的なシーンが盛り込まれています。Gセルフを操縦する主人公のベルリが、コクピット内で突然お腹をくだすのです。この非常事態をベルリはどう乗り切ったのでしょうか。
第2部『GのレコンギスタII ベルリ撃進』は2020年2月21日(金)の公開となっており、ベルリの体調が無事に回復したのかどうかも気になるところです。
●テクノロジーの進化と遊び心
12月には、『STAND BY ME ドラえもん』(2014年)をヒットさせた山崎貴監督による3Dアニメ『ルパン三世? THE FIRST』が公開されました。フィギュアのような可愛らしいキャラクターとなったルパン三世たちが、初代ルパンの遺志を受け継ぐ物語となっていました。宮崎駿監督の『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)が好きな人には充分に楽しめる作品でしょう。
原作者のモンキー・パンチさんは完成作を見ることなく3月に亡くなっていますが、『ルパン三世』の3D化は長年希望していたものでした。石川五ェ門役でおなじみだった声優の井上真樹夫さんも11月に亡くなりました。テクノロジーの進化とともに、遊び心も含めた先人たちの先進性がしっかりと継承されていけば、それは素晴らしいことだと思います。
●事件の背景は「寛容さを失った社会」なのか?
2019年のアニメの話題を振り返る上で、決して忘れることができないのは7月8日に起きた「京都アニメーション放火事件」です。アニメ制作会社「京都アニメーション」の社員69名が被害に遭い、36名もの方が亡くなるという、とても痛ましい事件でした。残されたスタッフやご遺族たちが負った心の傷の深さも、計り知れないものがあります。
京都新聞(11月15日付)は、入院中の容疑者が治療にあたった医療スタッフらに対して、「人からこんなにも優しくしてもらえたことは、今までなかった」と感謝の言葉を伝えたことを報じました。容疑者の行動はあまりにも身勝手で、短絡的な凶悪犯罪であり、到底許されるものではありませんが、その背景にある社会の不寛容さも指摘され、さまざまな議論を呼んでいます。
2019年も残すところ、あとわずか。みなさんにとって、新年がよりよき年になりますように。
(長野辰次)