『FF7』エアリスの物語に続きがあった? 後日談小説で描かれていた「その後」
『ファイナルファンタジーVII』をリメイクするなら、「忘らるる都」の結末を変えて欲しい。そう望むファンも少なくありません。しかし、あの出来事がきっかけで、その後の物語に多大な影響を与えています。その一部を綴った『On the Way to a Smile』で、原作ゲームでは知りえない物語に触れましょう。
後日談小説が綴る、ひとりの少女の戦い
2024年を代表する作品のひとつとして注目を集める『ファイナルファンタジーVII リバース』(以下、FF7 リバース)の発売が、いよいよ目前へと迫りました。
3部作で再構成するこのリメイクシリーズは、原作『ファイナルファンタジーVII』(以下、FF7)の物語を踏襲しつつも、前作の段階から明らかに異なるセリフや展開などが一部にあり、「『FF7 リバース』ではさらに大きな変化を迎えるのでは?」と予想する声が絶えません。
特に関心が寄せられているのは、『FF7 リバース』の最終盤で描かれるであろう「忘らるる都」での展開です。原作でもかなり話題となったあのシーンが、『FF7 リバース』で忠実に再現されるのか、それとも大きく変化するのか。その答えはまだ、関係者以外誰も知りません。しかしユーザーの一部は、「「忘らるる都」での結末が変わると、及ぼす影響が大き過ぎる」と考え、原作のままだろうと予想しています。
「忘らるる都」での出来事が、『FF7』世界全体にどんな展開をもたらしたのか。その一端を紐解く手がかりが、後日談を描いた野島一成氏の小説『On the Way to a Smile』に記されています。そこには、原作のゲームを遊ぶだけでは分からなかった、ライフストリームに関わる新たな物語の断片がありました。
あの衝撃的な展開の結末が、リメイクシリーズで変わるのか否か。『On the Way to a Smile』で描かれたライフストリームの物語が、そのヒントとなるかもしれません。
なお、ここから先は、「忘らるる都」の結末を含めた『FF7』のネタバレを含みます。また、それが『FF7 リバース』のネタバレに直結する可能性もあるため、『FF7』経験者やネタバレを気にしない人以外は、この先の閲覧をご遠慮下さい。
●「忘らるる都」で起きた、忘れえぬ悲劇
まずは、「忘らるる都」で起きた出来事を簡単に振り返りましょう。セフィロスの暗躍により、この星の危機──「メテオ」による破壊が近づきつつあるなか、エアリスはメテオを防ぐ「ホーリー」を発動させるべく、単身で「忘らるる都」に足を運びます。
そしてクラウドが駆けつけたその瞬間、エアリスが殺害され、その命が無慈悲にも散らされてしまいます。あまりにも容赦なく、そしてあっけないエアリスの幕切れに、言葉を失ったプレイヤーも多いはず。
この悲劇を覆す手段はないかと、多くのユーザーがゲーム内を駆け巡り、「水中呼吸のマテリアがあれば、エアリスが生き返る!」といったデマも流れたほど。しかし、エアリスの死は助ける術も回避する道もない、不可避の悲劇でした。
その後、エアリスが死の直前まで願っていたホーリーの発動自体は成功していたものの、セフィロスの妨害によって阻まれていたことが分かります。クラウドたちの尽力でようやく発動したものの、それはメテオ落下直前というタイミングで、ホーリーは十分な効果を発揮できません。
万事休すかと思われたその瞬間、膨大なライフストリームがメテオを包み込み、星の破局は寸前で回避されました。
「忘らるる都」で迎えた、エアリスの死という結末。その悲劇を回避したいという想いは、今も多くのユーザーの胸に刻まれています。
●エアリスは、あの運命を回避できないのか……!?
悲劇の回避を望む者もいれば、「エアリスの死があってこその『FF7』」と考える人もいます。
「あの衝撃的な展開があるからこそ、『FF7』の物語が成り立つというストーリー面の完成度を理由に挙げたり、ゲームというインタラクティブな体験を重視したりする視点など、その方向性はさまざまですが、いずれも一理あるのは確かです。
また『FF7』世界の物語は、他の作品とも密接に関係しています。特に、エアリスが命を落とした影響は、本編のみならず、後日談の『ファイナルファンタジー7 アドベントチルドレン』(以下、FF7 AC)にも大きく作用しており、その関連性から「エアリスの死は避けられない」と考える向きもあります。
果たして「エアリスの死」が、彼女が亡くなった後にどのような影響を及ぼしたのか。その断片を、『On the Way to a Smile』から拾い上げましょう。