名脇役「ジム」が「もっとも輝いた瞬間」3選 「やられ役」に収まらない魅力とは
派手に画面を彩る「ガンダム」やライバル機の陰に隠れがちな、量産機が見せる地味な見せ場に心惹かれるという人もいることでしょう。そうした量産機のひとつ、やられ役の多い「ジム」シリーズの輝いたシーンを見ていきます。
地味だけどたまにキラリと光る「ジム」の魅力
4月6日は、語呂合わせから「ジムの日」などといわれています。大半の「ガンダム」作品におけるモビルスーツ(MS)「ジム」の立ち位置は、どうしても主役機の引き立て役になることが多いものの、そのような「ジム」シリーズにも熱心なファンは少なからず存在します。
そうしたひとりである、「ジム」シリーズに心惹かれる筆者が何度も繰り返し観た、貴重なジムの見せ場を振り返っていきましょう。
●「ジム」が挙げた大きすぎる戦果
OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』では、物語の重要な局面で「ジム・スナイパー」が主人公機に負けない奮闘ぶりを見せました。
同機は「スナイパー」の名を冠していますが、狙撃に特化したオリジナル機体ではありません。「陸戦型ジム」をベースに「ロングレンジ・ビーム・ライフル」を装備し、軽くカスタマイズが施された機体にすぎませんでした。しかし劇中で大きな戦果を挙げ、「ジム」好きを喜ばせます。
まず「ジム・スナイパー」は、地球から脱出を図ろうとするザンジバル級の巡洋艦「ケルゲレン」を狙って、長距離狙撃を敢行しました。片膝をついた体勢で「ロングレンジ・ビーム・ライフル」を放つと、艦の動力部付近に直撃し、この攻撃で「ケルゲレン」を撃沈します。
とくにライフルを冷やすための冷却材を外部から供給しつつ、パイロットが冷静に狙い撃つ場面は目を引きました。
さらに物語のクライマックスであるジオンのMA「アプサラスIII」戦でも見せ場があります。森に隠れるように展開した「ジム・スナイパー」は、「アプサラスIII」のミノフスキー・クラフト(重力下での浮遊機構)の部分を狙撃します。このクリティカルな攻撃が成功し、「アプサラスIII」は機動力を喪失しました。
その後も、軍を勝手に離れた「ガンダムEz8」の腕部を破壊する場面もあり、これまでの「ジム」の扱いからは想像できないほど、輝いたシーンが目白押しでした。
●ベテランの「ジム」乗りが魅せた「圧巻の操縦技術」
OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』にも、さまざまな「ジム」のバリエーションが登場します。なかでも「ジム・カスタム」に乗る「サウス・バニング」の戦いぶりは「見事」のひと言に尽きます。
第8話で、いち早く敵艦を発見したバニングたちがMSで出撃すると、その相手は「シーマ・ガラハウ」率いる「シーマ艦隊」でした。バニングは、まだ未熟な「コウ・ウラキ」や「チャック・キース」に助言しながらも、シーマ艦隊の「ゲルググM」を次々と撃破していきます。
その後、バニングは撃沈された艦の残骸から「星の屑作戦」の計画書を発見するという手柄をものにしますが、「ゲルググM」の指揮官機に乗ったシーマの奇襲を受けました。
バニングは先手を取られたものの、即座にシーマが駆る「ゲルググM」の攻撃に反応、シールドで相手の攻撃を防ぐと「ジム・ライフル」で反撃を行い、シーマを後退させます。「ジム・カスタム」に搭乗するバニングの華麗な動きを見たシーマは、「やるなぁ」とつぶやいて撤退しました。
シーマ艦隊には撤退せざるを得ない事情があったにせよ、数的に有利だったはずの敵部隊を退けたのはバニングの功績であり、「ジム・カスタム」の渋さが光った場面です。