UFOでロボで合体…! 「グレンダイザー」のパイロット版『宇宙円盤大戦争』を観よ!
「マジンガー」シリーズ第3弾『UFOロボ グレンダイザー』には、放送に先駆けて「東映まんがまつり」のなかで公開された、パイロット版といえる作品があります。その名も『宇宙円盤大戦争』、世はUFOブーム真っ盛りでした。
当初は「マジンガー」とは全くの別企画
2024年にTV放送が予定されている『グレンダイザーU』は、海外でも広く知られるスーパーロボットアニメ『UFOロボ グレンダイザー』(1975年)のリブート版です。
「マジンガー」シリーズ第3弾にあたる同作はTV放送に先駆け、おなじみ「東映まんがまつり」にてパイロット版が上映されました。それが『宇宙円盤大戦争』です。設定はほとんど同じですが、メカや物語展開に微妙な違いがありました。
『宇宙円盤大戦争』はもともと『マジンガーZ』シリーズとは関係なく、1970年中頃のいわゆるUFOブームに乗っかった企画でした。企画途中でダイナミックプロが参加し、のちの『UFOロボ グレンダイザー』に繋がっていきます。
『宇宙円盤大戦争』のあらすじは、「ヤーバン大王」に故郷の「フリード星」を滅ぼされた主人公「デュークフリード」が、円盤型メカ「スペイザー」と巨大ロボ「ロボイザー」が合体した「ガッタイガー」に乗って脱出、地球に落ちのびて、「宇門源蔵博士」(テレビ版とは全く違うデザインです)の養子となり、「宇門大介」として生活するというものです。メカを除き、これらの基本設定はほぼ『グレンダイザー』と同じです。
ただその物語は、『ロミオとジュリエット』を彷彿とさせる、悲恋の物語でした。「ガッタイガー」を取り戻すべく、ヤーバン大王は実の娘である王女「テロンナ」を地球に派遣します。テロンナとデュークフリードは幼なじみで、かつては相思相愛の関係でもありました。ふたりは愛し合いながらも、敵味方に分かれて戦わなければならなくなります。
地球を訪れたテロンナは、デュークフリードが、宇門大介として身を寄せている牧場の娘「牧野ひかる」と仲良くしているのを見て嫉妬し、ヤーバン軍を使ってひかるを人質にとり、デュークフリードにガッタイガーを引き渡すよう要求しました。
デュークフリードは、ひかるのためにアイテム「スターカー」を使って、地下に隠していた「ガッタイガー」を呼び出します。ひかるのためなら大事な「ガッタイガー」もあっさり引き渡すデュークフリードの行動に、テロンナの嫉妬心はさらに燃え上がるのでした。
といっても、「東映まんがまつり」の観客である子供たちには、テロンナの心理はピンと来なかったのではないでしょうか。そして、デュークフリードを憎みきれないテロンナは、デュークフリードをかばって命を落とします。