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「まだ続きそうだったのに」「無限妄想」 衝撃的終わり方をした人気マンガ

好きで読んでいたマンガが最終を迎えると、寂しい気持ちになるものです。一方で、なかには読み終えた時にモヤモヤが残る作品も存在します。人気を獲得していたのにもかかわらず、最終話で賛否が分かれたマンガを振り返りましょう。

妄想で締めくくった名作

『東京大学物語』第1巻(小学館)
『東京大学物語』第1巻(小学館)

 マンガ作品のなかには、ずっと好評だったのにもかかわらず、肝心な最終話で「ぶっ飛んだ」展開を繰り広げ、読者を困惑させた作品も存在します。今回は、「人気マンガの変わりすぎた最終話」を振り返りましょう。

※本記事には各作品の内容の核心に触れる記述が含まれます。

●『東京大学物語』

 1992年から2001年まで「ビッグコミックスピリッツ」にて連載された『東京大学物語』(作:江川達也)の最終話は、今まで積み重ねたドラマを一気になかったことにする「夢オチ」という驚きの展開が描かれました。

 同作は高校生である主人公の「村上直樹」が、同じ高校に通う「水野遥」にひと目惚れをし、そこからはじまる彼女との恋愛のほか、東京大学合格を目指すための勉強、遥以外の女性との情事などが描かれます。

 そして最終話では、紆余曲折がありながらも最終的に直樹と遥が結ばれてハッピーエンドかと思いきや、すべては「直樹の妄想だった」という驚きの事実が明かされます。高齢になった直樹は、死に際に「さらば… オレの妄想の女の子… 水野 遥…」と心のなかでつぶやいていました。

 しかし、さらにここから「直樹の妄想だと思っていたこれまでの物語は、小学4年生の遥の妄想だった」と展開されるのです。遥は授業中に妄想するクセがあり、作中でも「あたしはよく自分の世界に入ってたくさんの妄想をしてしまう」と語っています。

 ラストシーンでは、遥の「あたしの青春は、今… 始まったばかり」という言葉で終わると見せかけ、左下のコマでは「なんて考えている女の子がいたらいいナ」と思っている男子が登場し、さらに左のコマには「なんて考えてる男の子がいたらいいナ」と思っている女子が現れ、「この妄想は誰かの妄想である」という場面が無限に続いている様子が描かれました。

 この妄想が連鎖するというラストは未だに「ラストが夢オチのマンガ」の代表格として語り継がれています。当時を振り返った読者からは、「妄想だと思ってもう一回読み返すと、さらに面白い」「ずっと面白く読んでいた分、ラストを読み終えた時の虚無感が半端じゃなかった」など、さまざまな声があがっていました。

●『焼きたて!!ジャぱん』

 2001年から2007年まで「週刊少年サンデー」にて連載された『焼きたて!!ジャぱん』(作:橋口たかし)の最終話は、自由な終わらせ方で話題になりました。

 主人公の「東和馬」が日本一のパン職人を目指す姿を描く本作は、2003年に第49回小学館漫画賞を受賞した人気作です。しかし、途中から路線を変更したのか、ギャグ要素が多く取り入れられるようになり、最終章では「地球温暖化を防ぐパン」を作るという展開を迎えました。

 物語はここからさらにぶっ飛んでいき、友人である「河内恭介」が和馬のパンを食べると、どこかで見たことのある修行僧に変身します。出てきた瞬間に登場人物たちが「ダルシム」であると認識するほど、どう見ても対戦型格闘ゲーム「ストリートファイター」シリーズのキャラクター「ダルシム」です。そしてダルシムの力で世界中の陸地を浮き上がらせて、温暖化による海面上昇から地球を救うのでした。

 小麦粉の味を最大限に引き出す「熟成」手法で作ったパンの美味しさや、河内が語る作品全体の「テーマ」など真面目な話題もありましたが、最終話ラストではダルシムになった河内がパン職人をやめてゲームのなかで闘い続けていることが明かされ、最後のひとコマで河内が「なんやて!?」と叫んで幕を閉じます。ちなみに、最終話である第237話のタイトルも「なんやて!?」でした。

【画像】え…っ? ヒロインの水野遥が衝撃の姿に!これが『東京大学物語』のラストです(3枚)

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