『前田建設ファンタジー営業部』生みの親語る(1)「“積算”は格別に面白い!」
建設業ならではのノウハウで、みんなを楽しませたい

――岩坂さんが「ファンタジー営業部」を立ち上げたのは、建設業界のグレーなイメージを明るくしたいという考えからだったと聞いています。
岩坂 そうですね。当時の世相も影響していたと思います。その頃は総合企画部経営企画グループにいたんですが、建設業のPRの仕方はもっと新しい方法があるんじゃないかとずっと考えていました。建設現場は誰もが目にするものなのに、安全への配慮もあって仮囲いで目隠しされています。そんなことにもどかしさを感じていました。そんなとき、本田技研さんが開発された二足歩行ロボット「P3O」を拝見し、「うちの会社はロボットをつくることはできないが、格納庫ならつくれるぞ」と思ったんです(笑)。
建設業は受注のひとつひとつが特注品で、それが難しさでもあり面白さでもあります。発注をあらゆる点から検討して見積もり、積算する瞬間の醍醐味は格別です。「建設業ならではのノウハウを生かし、アニメのコンテンツの力を借りることができれば、多くの人を楽しませるものができるんじゃないか?」と思いついたときは、ガッツポーズしていました(笑)。
当初、会社の上の者たちは、ネット上で「ファンタジー営業部」を立ち上げるということをよく分かっていなかったようで、「なんで、うちがマジンガーZを作るんだ?」「いやいや、マジンガーではなく、格納庫のほうです」みたいなやりとりを重ねました。「予算なし」「就業中以外の時間に実施」を条件にOKをもらったんです。熱量で押し切りましたね。若かったから、できたんだと思います。
――「ファンタジー営業部」は書籍化、舞台化、映画化されたわけですが、その効果は、広告費に換算すると大変な金額になるんじゃないでしょうか?
岩坂 私が広報グループにいたときは、新聞や雑誌に「ファンタジー営業部」の記事が出たときの効果を計算していました。現在は、恐らくお金には換算できないくらいの大きな効果になっていると思います。
まず、就職希望者が大幅に増えました。なかには「ファンタジー営業部に入りたい」と逆指名する学生さんもいて……人事部からは「お前が余計なことをするからだ」と小言も言われましたね(笑)。でも、窓口が広がったのはいいことです。あまり多くはありませんが、「ファンタジー営業部をやっている前田建設に仕事を頼みたい」という発注もありました。
何よりもファンタジー営業部がきっかけで、いろんな人に建設業への興味を持ってもらえたことが大きいと思います。トンネル、ダム、高層ビルといった建設現場に家族を連れていくことはなかなかできませんが、この映画を家族に観てもらうことで、仕事の面白さを理解してもらえるんじゃないでしょうか。映画を観て、「将来は建設業界を目指そう」と考える人が現れれば、最高に嬉しいですね。
(長野辰次)
●映画『前田建設ファンタジー営業部』
2020年1月31日(金)より全国ロードショー
原作/前田建設工業株式会社「前田建設ファンタジー営業部1〈マジンガーZ〉地下格納庫編」 永井豪『マジンガー Z』
脚本/上田誠(ヨーロッパ企画) 監督/英勉
主題歌/氣志團「今日から俺たちは?」(影別苦須 虎津苦須)
出演/高杉真宙 上地雄輔 岸井ゆきの 本多力 / 町田啓太
山田純大 鈴木拓 水上剣星 高橋努 濱田マリ 鶴見辰吾
六角精児 / 小木博明(おぎやはぎ)
配給/バンダイナムコアーツ、東京テアトル
(C)前田建設/Team F (C)ダイナミック企画・東映アニメーション










